若者の投票率アップに向け、大阪・ミナミの戎橋上で通行人らに呼びかける大学生＝26日午後（泰道光司撮影）

27日投開票の衆院選は、平成28年に選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられて以降、6度目の国政選挙だ。制度改正で若者の政治参加が期待されたが、若年層の投票率は低迷が続く。今回、「政治とカネ」の問題で政権に逆風が吹く中、果たして若者の関心は選挙に向かうのか。投開票日を目前に控えた26日には、関西の大学生が繁華街で若者世代に投票を呼びかけた。（秋山紀浩） 「投票に行きましょう」「手ぶらでも投票できます」。26日午後、若者の政治参画などを呼び掛けるNPO法人「ドットジェイピー」（東京）の大学生メンバー4人が、大阪・ミナミの繁華街を練り歩いた。 メンバーは「投票所はあっち」「期日前投票期間中」などと書かれた矢印型のプラカードを手に行進。心斎橋筋商店街などを巡りながら、通行する若者らに期日前投票所のある浪速区役所や中央区役所を案内した。 参加した同志社大3年、中村優実さん（21）は「少しでも多くの若者に投票所に足を運んでもらい、政治参画する人を増やしたい」と活動の意義を説明する。 総務省の統計によると、衆院選の投票率は平成24年以降4回連続で50％台。26年は戦後最低の52.66％まで落ち込み、前回の令和3年も3番目に低い55.93％だった。参院選も平成4年以降は40～50％台に低迷し、直近の令和4年も52.05％にとどまっている。 特に若者世代の投票率の低さが目立つ。平成28年以降の国政選挙で60代の投票率が60～70％台なのに対し、10～20代は30～40％台。令和4年参院選でも60代が65.69％に対し、10代は35.42％、20代は33.99％だった。 背景には、若者の政治や選挙への関心の低さがあるとみられる。 公益財団法人「明るい選挙推進協会」が令和3年の衆院選後に実施した意識調査によると、政治への関心について、60代の回答は「非常に持った」「多少は持った」が合わせて85.5％だったが、18～29歳は52.4％。投票への考えも「個人の自由だ」との回答が60代が29.6％だったのに対し、18～29歳は53.2％と過半数を占めた。 ミナミの繁華街にいた若い有権者の多くも関心が低い様子。大阪府八尾市の男性会社員（26）は「政治家もその支援者も高齢者ばかりで、縁が遠いイメージ。興味がわかない」と話した。

一方、衆院選では欠かさず投票し、27日も投票所に行くという同府東大阪市の男性会社員（26）は「一人一人の一票が集まって政治を変えることができる。まずは投票しないと何も始まらない」と訴えた。