総裁選全候補を採点してみたら、論理的には「保守政治家」石破茂しかいない?【毎日新聞・名物政治記者の眼】
第一関門は上川陽子まで
超乱立の自民党総裁選、この行方をどう見るか? それを占うには、何よりも自民党という政権政党にとって、この選挙の持つ意味を考える必要がある。 【写真】石破茂が語った「総理大臣という天命」…国民人気トップを独走 2つある。1つは、総裁選の終了後、時を置かずに、つまり年内に実施される公算の高い衆院の解散総選挙で、野党と渡り合って勝てる総裁(=首相)を選ぶことだ。つまり、国民人気の高い候補でなければならない。これが必要条件であろう。 もう1つは、国民人気の高いのは結構だが、その人物の背負わされた仕事は選挙応援だけではない。国会で首班指名されればただちに組閣、政策運営をするための党政府の体制を作り(人事を行い)、首相として、予算編成のイニシアチブを取り、各種政策についてその優先順位を考え、国会であらゆる質問に対し的確に答弁し、さらには、プーチンや習近平、また米国新大統領ら各国首脳と渡り合わなければならない。 要は、政治家としてどれだけの、経験、キャリアを積んでいるか。俯瞰的な人事を行えるか、政策に明るいか、答弁能力はあるのか、場数を踏んでいるか、などが首相になった翌日から問われることになる。十分条件と言っていいかもしれない。 片方だけでいいというわけにはいかない。今回の総裁選では、必要十分条件をバランスよく満たす者が有利になろう。 では、具体的に誰が有利になるのか。 第一の関門はどうか。とりあえずは直近の世論調査に頼るしかないだろう。 共同通信社の調査(8月17~19日)では、石破茂25・3%、小泉進次郎19・6%、高市早苗10・1%、河野太郎9・7%、上川陽子7・6%、小林鷹之3・7%の順だった。 このトレンドは、どの社の調査を見ても、年初にさかのぼってからほぼ一貫している。石破がトップを占め、続いて小泉、河野の順で続き、その間に微妙な差で高市が入ってくる。ある意味、世論調査上の岩盤支持率といってもいい。 となると、第一関門で生き残るのは、現時点では上川陽子までであろう。小林鷹之は知名度アップによる今後の伸びしろが期待できるかもしれないが、それ以下の一けた台下位を彷徨う候補は、その時点ではずされることになる。