ピー子ママを囲んで、知性派俳優の辰巳琢郎（右）と元自民党代議士で実業家の矢野隆司氏。ここでは誰もがおどける

　大阪・北新地、飲食店がひしめくビルの5階にクラブ「おだまり」はある。7月8日から10日、この店の40周年イベントに駆け付けた今を時めく芸能人たちは、ここではけっして芸能人ぶったりしない。飲んで、笑って、しゃべって、歌って――。その中心には必ずオーナーママのピー子さん（62）がいる。 【写真43枚】ホストよりもいい手つきかも！　「有名歌舞伎俳優」がシャンパンを自ら注ぐ

「芸能人はなあ……多すぎて」

　戸籍上は男性のピー子さん、今ほどそういう存在がポピュラーではなかったゆえに苦労もあった。 「40年ってあっという間ね。大学を卒業して一度は就職したけど、すぐに辞めてこの店を始めたの。昔はLGBTなんて言葉もなくって、しんどい思いもしましたし、マスコミに出るようになったのも弟の子供が高校を卒業する5、6年前。いじめられたらイヤですやん。でも、お客さんが支えてくれたんです。新地におもろい店があるいうて、お客さんがお客さんを呼んできて……」 　40周年イベントには、歌舞伎役者の尾上菊之助（46）に俳優の辰巳琢郎（65）、元自民党代議士で実業家の矢野隆司氏（63）らが訪れた。さらに尋ねてみると、著名人の名前が次々に挙がる。 「店を始めたのはバブルの頃やから末野興産の末野謙一さんや許永中さん。力士やったら貴乃花や朝青龍も。芸能人はなあ……多すぎて。吉本興業の木村政雄さん（元常務）や大崎洋さん（元会長）が部長とか課長やった時からいろんな人を連れて来てくれて、西川きよしさんや坂田利夫さん、ダウンタウンの浜ちゃんも来たわ。ビートたけしさん、デヴィ夫人とか香西かおりさんとか藤あや子さんとか……。そや、（元首相の）森喜朗さんもいらっしゃったわ」 　みんなここではステータスを脱ぎ捨てて、ピー子ママのエンターテインメントに身をゆだねるのだ。

「週刊新潮」2024年7月25日号 掲載