子どもたちが狙われる!性加害の新たな手口 親も気づきにくいSNSを通じた「セクストーション」とは?
■親身に相談に乗ってくれた男性がまさかの…
もう1つの事例はこうだ。男子中学生のDくんはSNSでつながった女子中学生のEさんとやりとりをしていて、わいせつな画像を送ってしまった。 するとEさんから突然、「拡散されたくなかったら、このアカウントのFさんとわいせつな行為をする動画を送れ」と脅された。Dくんが仕方なくFさんのアカウントに連絡をとると、Fさんは「僕でよければ助けてあげるよ」と真摯に相談に乗ってくれた。Fさんは20代前半の男性だった。DくんはやむなくFさんに頼み、わいせつな行為をした。 しかしこれも、Eさんのアカウントの中身はFさんだったのだ。Fさんは相談に乗る中で、「Eさんに拡散された事例もみてるし、やばいやつだ」と巧みにEさんへの恐怖心をあおり、Dくんを追い込んでいった。そして表面上は「Dくんを救うためだから」とわいせつな行為に応じたふりをしたのだ。異変を察知した母親がDくんに事情を聞き、事件が発覚したという。 捜査関係者はこうした手口を「劇場型」と呼んでいて、「犯罪者は普通は思いつかないようなあの手この手で子どもに近づこうとする」と警鐘を鳴らす。
■ゲームで知り合った「優しいおじさん」が…
脅すだけが手口とは限らない。オンラインゲームで知り合った子どもにゲーム上のアイテムをプレゼントすることで「優しいおじさん」というイメージをつける。そして、現実に会う約束をとりつけ、一緒にご飯に行く中でわいせつな行為をした男も。 また加害者が言葉巧みに誘導し、「ペアレンタルコントロール」(保護者が子どものスマホなどを管理する機能)を解除するケースもあるという。機能を制限しているから大丈夫、と安心もできないのだ。
■警察庁とSNS事業者が対策進める
警察庁のまとめによると、SNSがきっかけで犯罪に巻き込まれた児童の数は、2022年は1732人。そのうち性犯罪などの重大な犯罪に巻き込まれる児童の数は年々増加している。 ただ、SNSは多くの人が使用しているツールだ。NTTドコモモバイル社会研究所の調査によると、15歳から79歳の男女6423人のうち、LINEの利用率は83.7パーセント、XやInstagramはおよそ40パーセントだという。そのため警察庁はSNS事業者と連携して対策を進めている。 ある事業者は、チャット機能を同世代とだけ使えるように制限している。こうした取り組みがあることはもちろん、親は我が子にスマホなどを持たせる以上、犯罪に巻き込まれる可能性があることを強く認識する必要がある。