複合の渡部暁斗は、ソチで表彰台に上がれるか
W杯2大会目のノルウェー・リレハンメルで、ノルディック複合のノーマルヒル個人とラージヒル個人で2位と3位になった渡部暁斗。その表彰台は、開幕戦だった前週、11月30日のフィンランド・クーサモ大会で予測されたものだった。 当初の予定の12月1日から日程が変わったクーサモのラージヒル個人。当日は強風でジャンプが飛べず、前日の予備試合(悪条件でジャンプが飛べない時でも試合を成立させるために用意しておく試合)のジャンプが採用されることになった。だが渡部は直前の公式練習では133・5mと130mで全体の1位と6位のジャンプをしていながらも、予選を兼ねた予備試合では悪条件とミスが重なって114・5mしか飛べず、トップと2分16秒差の28位に沈んでいたのだ。 だが距離では後方から追い上げてきたミッコ・コクスレンや、9秒前にいたヨルゲン・グラバック(ともにノルウェー)をうまく利用して走り、全体の4番目のタイムで順位を7位にあげた。レース後には「最後は突き放されたけど、走りが強いふたりにくらいついていけたのは今後につながると思うし、納得のいく走りでした。でも今の走りなら、予備ジャンプを使わなければ勝っていたかもしれませんね。練習のジャンプでは1番にもなっていたし」と、笑顔で話していたのだ。 バンクーバー五輪の前シーズンから走りに自信をつけた渡部は、11年に北野建設入社。その後はジャンプの竹内択などと練習をしてジャンプの精度をあげ、11~12年シーズンにはW杯で4勝して総合2位。昨シーズンは勝利こそなかったが総合3位と安定した力をつけた。そしてこの春からは股関節などの使い方も意識したトレーニングにもとり組み、夏のGPでは総合1位に。ジャンプと走り、両方のレベルアップの手応えを感じていたのだ。 その成果が出たのは、リレハンメルの第1戦ノーマルヒル個人だった。前半のジャンプで昨季W杯総合2位で世界選手権3冠のジェイソン・ラミージャプイ(フランス)に18秒差の3位で距離をスタートすると、1位のブラウド(フランス)とともに逃げるラミーシャプイを追いかけて5km手前で追いついた。