複合の渡部暁斗は、ソチで表彰台に上がれるか
「追いつくために前半で力を使い過ぎて疲れていたので、最後はジェイソンに付いていけなかった」と言うが、ブラウドはしっかり突き放して2位でゴール。渡部より1分以上も速いトップタイムで猛追してきたコクスレンも5秒弱抑えた。 「今日みたいに雪が硬くて寒いのはちょっと苦手で、コースも上りの距離の合計がルールの基準限界できつかったけど、後続から逃げきれたのは良かったですね」とレースを振り返った。 翌日のラージヒル個人はジャンプが6位でトップとは56秒差。50秒前には昨季W杯総合1位のエリック・フレンチェル(ドイツ)がいて、10秒程前には距離が強いマグナス・クロッグなどノルウェー勢が3人。後にも20秒差でラミーシャプイがいる展開で表彰台は厳しいかに見えた。本人も「前半で後から来る選手に追いつかれて集団になる」と、序盤は逃げるノルウェー勢を無視してマイペースで走った。だが5kmを過ぎてもなかなか追いついて来ないのをみて前を追い始め、ラストではクロッグを0秒6差まで追い詰めて3位になったのだ。 「今日は朝から雪が降っていてコースが柔らかくなったのが、小柄な僕には有利に働いたと思うが、最後はクロッグを追い詰められたので満足な3位ですね。開幕前の練習を見ていて、ジャンプも夏ほど良くないし雪にも慣れていないから10位くらいかなと思っていたけど、早い時期で表彰台に乗れたのは収穫。今のジャンプは6位くらいが実力だと思うけど、これから少しずつ良くなっていくだろうからチャンスはあると思う」 渡部自身、2シーズン前からは「うまくいけば表彰台に上がれる」と言うのはわかっていたと言う。まだフレンツェルやラミーシャプイを相手に簡単に勝てるとは思わないが、この開幕3戦では3強の一角にいることを確認できた。 「僕の場合は寒いのが苦手だし、パワーのいる硬い雪のコースでは力を発揮できない。もう少し寒さも緩み、柔らかい雪になった時の方が本領を発揮できるんです」 と言う渡部。ソチは標高も低く、それほど寒くならないことが予想される場所だ。パワーではなく技術で滑ることが必要とされるコースになるだけに、ジャンプさえそれなりに飛べればチャンスは大きくなるということだ。