一度は「叩いてもいい朝ドラ」認定された「おむすび」はなぜ5週目に復活できたのか “厭世感に囚われた橋本環奈”という違和感の正体が…
5週目以降、『おむすび』に対する筋違いな批判は激減
つまり本作の序盤(1~3週)は結を中心とした米田家の一見平和に見えるが何か違和感のある日常を描き、第4~5週で、その違和感の正体が、神戸で体験した阪神・淡路大震災だったことがはっきりするという、ミステリードラマ的な仕掛けになっていたのだ。 その意味でも1~5週はセットで評価を下すべきだろう。 実際、5週目で描かれた震災の描写は、綿密な取材の成果もあってかとてもリアルなものに仕上がっており、物語の起点として、とても説得力のある場面に仕上がっていた。 この5週目以降、『おむすび』に対する筋違いな批判はだいぶ減り、ネガティブなネットニュースも減りつつある。 その意味で作り手の意図はある程度は視聴者に伝わったと言えるだろう。 だが5週目まで待てずに離脱した視聴者も多く、朝ドラのような一話一話が短く観やすい物語ですら不快だったり理解できない展開が続くと「我慢できない」視聴者が増えているという、苦い現実を思い知らされた。 “オリジナル主人公&平成舞台&複雑な構造”で脱落者が続出…それでも「おむすび」が“優れた朝ドラ”である深い理由 へ続く
成馬 零一