騎馬で河川をパトロール 人と馬が共生していた十勝で文化継承
帯広開発建設部と帯広畜産大学は21日、帯広市内の札内川河川敷付近で馬を活用した騎馬パトロールの試行実験を実施した。馬を活用することによる河川管理などへの可能性の検討を目的とし、その効果や課題などを確認した。 管内では初めての取り組み。帯開建が、第9期北海道総合開発計画の取り組みの一環として地域との共創を進める中、同大の「十勝の馬文化を継承したい」との思いを受けて、今年の夏ごろから連携事業として検討を始めた。 帯開建によると、河川環境や動植物の状況などを確認する河川パトロールは通常、車や徒歩、ドローンなどで実施。しかし車や徒歩では目視での確認が難しい箇所もあり、「今まで車が走行できなかった箇所の確認や、馬上からの高い視点による目視での認識力の向上などの効果を期待する」としている。 この日は、帯開建や同大の関係者らが見守る中、同大保有の馬2頭で試行実験を実施。札内川の堤防上や付近の草地、河川敷を同大職員らが騎乗しパトロール。帯開建の尾崎光政治水課長は「河川付近では馬たちも少し驚くような様子だったが、終始落ち着いてパトロールできた。今後は積雪期の河川管理や災害時の活用など、可能性の幅を広げていきたい」と話した。 また、同大では馬を通じた教育や研究、社会貢献活動を推進する「馬介在研究室(南保泰雄室長)」を2014年から設置しており、乗馬体験や学生への乗馬教育、障害者乗馬に適した馬の生産に関する研究などを行っている。南保室長は「昔から馬と共生してきた歴史がある十勝で、今後も馬産業の発展や馬に関わる人材育成につなげていきたい」と話している。(廣田佳那)