自衛官の処遇改善へ新組織、定年延長も検討…政府原案
自衛官の処遇改善に向けて政府がまとめた基本方針の原案が16日、判明した。2025年度中に、防衛省内に人的基盤の強化を担う新たな組織を設置し、サイバー専門部隊の隊員らに特殊作戦手当を新たに支給することなどが柱で、一般隊員の定年延長も検討していく。定員割れが続く自衛官を確保する狙いがある。 【写真】自衛隊の揚陸艇が海岸に上陸…孤立した住民らを救助する訓練
複数の政府関係者が明らかにした。自衛官の処遇改善は石破首相の看板政策で、近く関係閣僚会議を開き、基本方針をとりまとめる。
原案では「防衛力の抜本的強化を真に実現するためには、優れた自衛官を安定的に確保し続ける必要がある」と強調。防衛省人事教育局内に担当室を設置し、処遇改善の充実化に向けた検討を加速させる。
25年度に行う具体的な処遇改善策として、サイバー部隊への手当のほか、航空管制業務を担う自衛官や航空機の整備員への手当を新設する。航空機の乗員への手当や災害派遣手当も引き上げる。駐屯地や基地で生活する一般曹候補生らを対象に、新たな給付金を新設することも盛り込んだ。
自衛官の多くは、56歳が定年で、「退職後の収入に不安を感じる人が少なくない」(首相周辺)。このため、原案では、一般隊員の定年を28年度以降、2歳程度引き上げることを検討する方針も打ち出した。一部職域に適用されている60歳定年について、宇宙やサイバーなどの分野で拡大することも検討し、来年夏をめどに方針をまとめる。
原案にはこのほか、職業訓練などの再就職支援の取り組みを強化することなども盛り込んだ。