【第33回埼玉政財界人チャリティ歌謡祭】本番3週前に急逝…バンドマスター・岡宏さん、メンバーが明かす「本当に憎めないキャラ」
素人の歌唱を熟練の技術でフォロー“俺だからできるんだ”
ビッグバンド「岡宏とクリアトーンズ」のバンドバスター・岡宏さんが11月8日、脳梗塞のため83歳で亡くなった。そんな岡さんが1992年の第1回から演奏を担当してきたのが、テレビ埼玉(テレ玉)の正月恒例特番『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』だ。 【写真】出場者が勢ぞろいする『第33回埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』エンディング 11月30日に行われた第33回(1月1日19:00~、再放送:1月12日19:00~)の収録本番後、バンドメンバーである相澤哲氏(トランペット)と大堀博士氏(サックス)に、岡さんとの思い出を振り返ってもらった――。
■亡くなる1カ月前に恒例のディナーショーも… 亡くなる1カ月前の10月14日、東京・新宿の京王プラザホテルで恒例のコンサート&ディナーショーに出演していた岡さん。相澤氏と大堀氏には、その直前に体調が悪いことを打ち明けていた。 「10月の頭にリハーサルをやった時に、僕とか数人に“検査したら引っかかったから精密検査で入院するんだけど、他の人には黙っておいてほしい”と言われたんです。心配かけたくなかったんだと思いますね」(相澤氏) 「ちょっと前から“調子悪いんだ”と言っていて。検査に行くという時に“そろそろ年貢の納め時だな”なんて冗談半分で言ってました」(大堀氏) 突然の訃報だったが、「投げ出すわけにはいかない」(相澤氏)、「決まっていた仕事はできるだけやろうと決めました」(大堀氏)と、今回の『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』も迷うなく出演を決めた。バンド名は変わらず、「岡宏とクリアトーンズ」だ。
■岡さんが3分の1くらい入っていた この番組の収録を、毎回楽しみに参加していたという岡さん。プロの歌手ではない出場者は、歌のテンポがずれてしまうこともあるが、熟練の技術で演奏を歌唱に合わせるなど、欠かせない存在となっているだけに、「これは職人的な技術が必要なので、他のバンドにはなかなかできないですからね」(大堀氏)、「“俺だからできるんだ”的な自負があったと思います」(相澤氏)と想像する。 相澤氏は「最近は歌い手の皆さんも慣れてきてそういうことはないのですが、昔は歌が甚だしくずれちゃうとか、外しちゃうことがあって、本当に音楽が止まる寸前までいくことがあったんですけど、絶対止めないんだという采配があって、それが岡さんの力でしたね」と回想した。 そんな岡さんのいない今回は、大堀氏がサックスを吹きながら、要所要所で手振りで指揮するスタイル。相澤氏は「僕から見ると、(大堀氏に)岡さんの仕切り方が3分の1くらい入ってましたね。ちょっとずれそうな危険を敏感に察知して、スッと立って指揮をするという感じで、無意識のうちに影響されていると思いました」と評した。 次回以降の『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』についても、大堀氏は「振られれば全力で取り組みますし、ぜひまたやらせてもらいたいと思います」と、引き続き「岡宏とクリアトーンズ」での参加に意欲を示している。