宣孝VS周明、大人の余裕で史実盤石ルートへ…もう一人の「忘れえぬ人」周明の果たした役割【光る君へ】
100%の嘘ではなかった、まひろへの周明の思慕
周明が誤算だったのは、相手が「藤原道長(柄本佑)からの本気のハグ」を幾度も体験し、人間の死にたびたび直面するという、人生のタフさでは負けていないまひろだったことだろう。SNSも「道長君との超ハイレベルな恋愛を経てるので、付け焼刃の国際ロマンス詐欺なんて引っかからないのだ」「相手が目の前で母親を刺殺され、惨殺された友人を手で掘って土に埋めた女だったの、運が悪すぎる」と、作戦失敗を惜しむような声が。 そうしてあっけなく周明ルートは終了し、宣孝ルートが盤石になったが、その後押しとなったのが、まひろの数少ない友人・さわの死になるとは誰が想像しただろう・・・これにも「え、え、さわさん??」「やはり別れは死亡フラグであったか」「震える筆跡で最後に歌を書くくらい、まひろが好きだったんだね」「最後にまひろの宣孝さまを受け入れる気持ちを後押ししてくれたのか・・・ありがとう、本当によいお友だちだった」という追悼の言葉があふれた。 朱が、周明は越前から去ったことを告げたとき、SNSでは一瞬「まさかミッション失敗で消された!?」という声が一斉に上がったが、それはまひろの前に姿を見せないための嘘だったことに、これまた一斉に安堵の声が上がった。しかし周明のまひろへの思慕は、決して100%の嘘ではなかった・・・ということが朱との会話で明らかになったことにも、また安堵した人が多かっただろう。 「朱仁聡さんがいい人過ぎて泣ける」「全部嘘って訳ではなかったんだな」「心の内ではまひろのこと想ってたんだな・・・ごめん国際ロマンス詐欺とか言って」「『お前の心の中から消えるといいな』消えないなこれは~」「『あれは恋だったのだ』みたいな切ない顔やめろよ。奥行深すぎて泣きたくなるじゃんかよ!」という同情の声に混じって、「周明諦めたん? そんなすぐ諦めんなや。大河あと何回あると思ってんねん」という叱咤激励の言葉もあった。 ■ 再登場あるか? 爪痕を残したオリキャラ・周明 まさに越前編の大きな花火のように、パッと華やかにまひろの人生を照らしたかと思いきや、わずか3回で退場が決定した周明。短い出番ながらも、まひろの中国語&我がことすら客観的に見る力を鍛え、「この世に理想郷などない」というシビアな現実を突きつけるオリキャラとして、見事にその役割をまっとうした。 しかしここで退場というのは、中の人が松下洸平ということも含めて、あまりにも惜しい。直秀(毎熊克哉)と違ってどこかで生きているわけだから、忘れた頃に再登場があることを心の底から祈りたい。 『光る君へ』はNHK総合で毎週日曜・夜8時から、NHKBSは夕方6時から、BSP4Kでは昼12時15分からスタート。6月23日放送の第25回「決意」では、藤原宣孝と結婚するためにまひろが都に戻って来るところと、政に目を向けなくなった一条天皇(塩野瑛久)に対して、藤原道長がある決断をくだす姿が描かれる。 文/吉永美和子