ぶいすぽっ!のクラッチクイーン・胡桃のあ&猫汰つな 『RAGE VALORANT』に挑むメンバーたちを掘り下げる
明るくユーモラスなムードメーカー・猫汰つな
続いて紹介するのは、ポジティブな性格と高いモチベーションで配信をつづけ、ぶいすぽっ!メンバーを大きくフォローするメンバー猫汰(ねこた)つなだ。 2022年6月21日にSNSにて初投稿し、24日に初配信。このときの配信は同時視聴者数5万人を超え、大きな注目を集めていた。 赤い長髪に橙色の瞳、猫耳フードつき黒パーカーや戦闘系メイド服など、特徴的なファッションで多くのファンを掴んでいる猫汰だが、そのルックスから生まれるイメージ通り、情熱的かつアクティブな一面を持ち合わせている。 明るく活気ある性格で誰とでもコミュニケーションを取ろうとする心の広さを持っており、多人数が参加するコラボ配信などでは、周囲を巻き込んで盛り上げるユーモアもしっかり持ち合わせている。 ストリーマーやVTuberの配信では、状況が有利・好転している状況で甘えたプレイ・油断することを、「歯茎を見せるくらい笑ってプレイしている」という意味で「歯茎」「歯茎プレイ」と称されることが多いが、猫汰つなも配信中にそういった言葉を使うことが多い。 彼女の場合、得意ゲームである『Apex Legends』『VALORANT』でメンバーと集まって配信しているときにそういった状況になることが多く、自分の口から言い出したり、コラボ相手とのあいだで言い合うことが多い。 そういった言葉が頻繁によく出てくるということは、猫汰本人が「明るく楽しくゲームをする」というポジティブな感性が配信のなかで表現されていることを意味している。 あえて調子づくことによって小さなことにクヨクヨしなくなり、普段よりも明るく楽観的にゲームや配信を楽しむことができる。周囲のストリーマーやファンにも「これが猫汰つなのムード」だと認知されており、ムードメーカーとしての振る舞いには一目置くべきだろう。 また、猫汰はぶいすぽっ!のなかでも比較的お酒が好きなメンバーであり、お酒を片手に雑談をすることも多い。チューハイ、ビールなどを好んで飲むことが多いというが、友人らと飲む際はアルコールがより強い酒を飲むこともあるようだ。 ある年の忘年会では、かなり酔っ払った結果女性スタッフと手を繋いで一緒に座り楽しんでいたり、空澄セナと会った際には「セナちゃんはめちゃくちゃ頑張ってて偉いよぉ!」と泣きながら本人に訴え、空澄と2人で大泣きしていたという。 FPS大会・企画のなかで長期間にわたって練習をこなした後に本番を迎え、結果が振るわなければ悲しみの涙を流し、逆に高順位の結果を残せば嬉しさの涙を流すこともある。こうした振る舞い、そして明るくゲームをプレイする普段の姿からも分かる通り、猫汰には自然と湧き上がるエモーショナルさを外へと表現する感情家な一面があるのだ。 では、ゲーム中のプレイスタイルについてはどうだろう。猫汰つなは、先述した胡桃のあとに匹敵するほどのアグレッシブなプレイングが持ち味であり、さまざまな大会でその勇敢かつ大胆なプレイングを披露し、多くのファンを惹きつけてきた。 特に彼女が『Apex Legends』でみせてきたプレイングは非常に攻撃的。最高はマスターランクなのだが、多くのVTuber~ストリーマーらが「あそこでああいう動きができるのはヤバイ/おかしい」「自分にはできないプレイ」と言わしめるプレーを連発してきた。 敵プレイヤーと相対したときにはフロントを張り続けてダメージを稼ぎ、あげく相手をキルしてしまうことすらあるため、ここぞの場面で窮地を救い、勝負を決めるなどして名シーンをいくつも生み出してきた。 「ぶいすぽっ!のクラッチクイーン」というほまれ高い二つ名をあえて捧げるならば、今回フォーカスを当てている猫汰つなか胡桃のあのどちらかになるだろう。 2人とも「前線を張ってダメージを稼ぎ、キルを取る」「IGLとしてチームを動かし、勝利へ導く」という2点を長所にしており、前者は猫汰に、後者は胡桃にそれぞれ分があるように見える。 もう一方の人気ゲーム『VALORANT』では、デビュー後徐々に実力を高めていき、韓国からの訪日直前であった2024年1月に胡桃・白波とともに「ぶいすぽ芋チャレ」企画に参加。結果、自身最高のアセンダント3に到達。さらに日本在住となった3月後半以降もモチベーション高くプレイを続け、4月7日には自身初のイモータル1へと到達した。 しかもこのときは前日の6日夜23時半から配信をスタートし、フルパでワイワイと楽しみながらプレイし、その後ソロで数戦プレイしているうちに達成という、「まさかここで達成するとは思っていなかった」と本人もビックリする流れであった。 約14時間以上に渡った2つの配信では、緊張感やシリアスなムードではなく、和気あいあいと友人と楽しみながらプレイする猫汰の姿が収められている。彼女も「まさか」といった表情をみせていたが、こうしてみると楽しくプレイすることが好調につながる、なんとも彼女らしい達成の仕方ではないかと思う。 ■日本語を使いこなす猫汰 いよいよ日本移住で活動がさらに活発に? そんな猫汰つなだが、じつは生まれつきの韓国育ちであり、韓国語・日本語を使い分け、他の言語も多少しゃべることができるマルチリンガルでもある。 とあるカジュアル大会に出場した際に、チームメイトとなったプロゲーマー・1TAPPYとReyzyGGから「つなさんも韓国に住んでいるんですか? 生まれつきですか?」と質問を受けた際に、猫田本人がハッキリと答えている。 思わぬ告白に2人とも「えっ!? 日本語うっま!」「全然わからなかった…!」と驚きを隠せなかった様子。 「いまじゃ日本語に慣れすぎてて韓国語のほうがヘタクソ」 「おじいちゃんとおばあちゃんは韓国人じゃなくて、クオーター系です」 このように次々と話す猫汰つな。漢字を不自由なく読めるだけではなく、日本のポップカルチャーにも詳しい。彼女の配信を覗いてみると、数年で覚えたとは到底思えないレベルで日本語を使いこなしている。 最近行われている『RAGE VALORANT 2024 feat.VSPO!』の練習中、先輩・八雲べにから「どうやって日本語を覚えたか?」「どれくらい勉強したか?」と問われ、こう答えている。 「みんなと遊びながらじゃないかな。意識が高かったときはYahoo!ニュースを毎日読んでた。配信者の人と遊んでもゲーム以外の話題にならないけど、Yahoo!ニュースだと日常の話題が多いから、知らない言葉がいっぱいあった。4年ぐらいは勉強したかな……?」 ぶいすぽっ!の同僚・友人のストリーマーの多くは日本語話者が大半であり、彼女の配信でも主に日本語が使われている。普段から数時間以上にわたって日本語で会話をし、日本語のコメントを拾って配信をするのだから、「韓国語で話すよりも日本語で話すほうが楽」となってしまうのも頷ける。ちなみに、ぶいすぽっ!内で催された学力テストでは、国語の点数が他メンバーよりも上回ったこともある。 彼女が韓国から日本への移住を報告したのは2024年3月9日のこと。ビザの取得や引っ越しにはぶいすぽっ!運営が大きく尽力し、念願かなっての日本移住となった。 3月19日には同僚の英リサ・橘ひなの両名が新居を訪問し、3月24日以降は日本の新居からの配信活動を本格スタートした。 「初めての一人暮らしを海外でするってなって、母親が反対してた。でも言語の壁ってもうほとんどないし、一人暮らしをして親がどんだけ偉大な存在かをわかってもらえると思うって親が言ってて、許してもらえた」 「活動する(国内外で)内容はそこまで変わらないのになんで日本に来るかっていうと、今まで(日本での)仕事で何度か数日お休みをもらってたことがあると思うけど、忙しい時は月1回か2回くらいのペースで配信を休んでて、それがまず嫌だった。あとは3Dも手に入れてスタジオもあって、(日本に来れば)活動の幅が全然広がっていきそうだなと思って引っ越すことを決めた」 このように語っているとおり、彼女には明るい未来が待っている。さらに配信の頻度も増えていくであろう猫汰つな、今後の活躍に注目だ。
草野虹