NEWS 増田貴久・主演ミュージカル『20世紀号に乗って』ゲネプロレポート【辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2024】|CLASSY.
100年前にもあった「蛙化現象」!?
「あれは輝かしい失敗だった。俺は終わりだと言われる度に、♪立ち上がる~♪」パワフルな美声を響かせる増田貴久。他の出演者がミュージカルらしい歌唱法で歌うなか、素直で伸びやかな歌声がいい意味で際立っています。クリス・ベイリーによる振り付けも、「ヘビ」という歌詞に合わせてヘビの手の形をしたり、ところどころかわいくて癒されます。特別室Aに乗り込んだ3人ですが、実はオスカーには策略がありました。隣の特別室Bに有名な女優リリー・ガーランドが乗ってくる予定で、再起をかけて一緒に仕事をしようと持ちかけるつもりでした。実はリリー・ガーランドは女優になる前はピアノで伴奏を弾く仕事しており、その歌声を聴いたオスカーが彼女を抜擢、女優に育て上げたという過去があったのです。回想シーンで二人の歴史が再現。宝塚出身の珠城りょうがリリーを演じていて、難易度の高いメロディーを歌い上げていました。オスカーとリリーは実生活では恋人同士だったのですが、ぶつかり合うことが多くけんか別れしてしまいました。彼女は恋人のブルース・グラニットと一緒に乗車。二人で犬の鳴きまねをしながらイチャついたり、テンションがおかしいです。名声やハリウッドの雰囲気に酔いしれ、ひとときの恋に浮かれている、という描写でしょうか。リリーは、同じ列車にオスカーが乗っていることを知って警戒。「あの狂ったヒキガエルから私を守って」と彼に頼み「絶対戻らないわ~♪死んだ方がマシ~♪」「二度と会いたくない~♪」と歌います。テイラー・スウィフトの「We Are Never Ever Getting Back Together」のようです。「狂ったヒキガエル」という表現は、蛙化現象に通じるものが。100年前も現在も変わらない女性の本音が現れています。
戸田恵子演じるユニークなキャラクターが登場
一方オスカーは「俺は彼女を愛していた!」と熱い思いをほとばしらせ、「リリー・ガーランドはマグダラのマリアだ!」と、新たな役を演出したいという野望を抱きます。そんな勝手な思いはリリーには届かず……。4度も興行を失敗して落ちぶれたオスカーは相手にしてもらえません。列車には戸田恵子演じるレティシア・プリムローズという謎のマダムも乗っていて、彼女は熱心なキリスト教信者として「悔い改めよ」と書かれたステッカーをいたるところに貼りまくっていました。1930年代の戯曲にしては結構攻めている内容です。彼女は製薬会社の会長で大富豪だと知ったオスカーは、もしかしたらスポンサーになってもらえるかもしれないと期待します。オスカーは年上のマダム扱いがうまくて、すぐに気に入られていました。ヒロインではなく、マダムに感情移入して観るのも楽しいです。オスカーは列車の中でなんとかリリーを口説き落とそうとします。また一緒に舞台を作りたいという熱い思いを歌で表現。