開幕戦には良い思い出がない。シーズンが始まると思うと逃げ出したかった【張本勲の喝!!】
不安と憂鬱の戦い
開幕しばらくは調子が上がらなかった。打者は筆者
練習試合が終わり、いよいよ開幕を迎える。練習試合では打撃戦が多かったようだが、開幕前の時期というのは打高投低となりがちだから、これは当然だろう。結果を出さなければならない二軍クラスの投手はともかく、一軍レベルの投手はまだ調整段階だからだ。 公式戦が始まれば、一軍レベルの投手たちは一段と気合いを入れて投げてくるから、今よりも3~4キロはスピードが出る。変化球もキレ味が鋭くなるから、打者もそう簡単には打てなくなる。ただ、今年は新型コロナウイルスの影響によって、ここまでの調整が投手も打者も手探りだったはずだから、そういう面も少なからずあるのかもしれない。6月中旬にプロ野球が開幕するなど過去になかったことだから、こればかりは誰にも分からないだろう。 練習試合の最中に巨人の2選手などが新型コロナウイルスに感染したと報じられたが、ともかく無事に開幕を迎えられそうなことはよかったのではないか。しかし何度でも言っておくが、私は正直、開幕はまだ早いと思っている。無観客試合とはいえ、移動のリスクを含めて感染の可能性は十分に残されている。怖いのは気の緩みだ。選手諸君、関係者はその自覚を持ち、十分に責任と覚悟を持って行動してほしいし、戦ってもらいたい。 開幕戦は選手にとって特別だとか、開幕スタメンに名を連ねることは選手にとって名誉であるとよく言われるが、私はそんなことを感じたことは一度もない。開幕を特別だと感じるのは、監督ほか首脳陣のほうだろう。選手の立場からすれば「長くつらいシーズンがまた始まるのか」という気持ちだと思う。少なくとも私はそうだった。 もちろんプロ野球選手たるもの、野球をするのが仕事だ。開幕してもらわなければ困る。だが・・・
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週刊ベースボール