サインツの功績を高く評価するフェラーリ代表。契約更新をしないと伝えるのは「人生で最もつらい電話のひとつだった」
フェラーリのチーム代表を務めるフレデリック・バスールは、今シーズン限りでチームを去るカルロス・サインツの功績を称賛し、チームメイトであるシャルル・ルクレールのパフォーマンスを伸ばすことにも繋がったと語った。 【写真】2024年F1第3戦オーストラリアGP 今季初優勝を飾り、チームクルーからの祝福を受けるカルロス・サインツ(フェラーリ) 今年初め、バスールはルイス・ハミルトン(メルセデス)を説得してフェラーリに移籍させ、メルセデスとの12年間の関係に終止符を打たせるという予想外の偉業を成し遂げたが、来年サインツがいなくなることを惜しむ気持ちを隠してはいない。サインツは、7度の世界チャンピオンに道を譲るために今シーズン末にスクーデリアを去ることになる。 また彼はサインツを大いに褒めたたえており、あらゆる機会にサインツのパフォーマンスとプロ意識を称賛している。バスールは、ポルトガルの『Sport TV』との独占インタビューでも同様の発言をした。 バスールは過去に何度かサインツの獲得を試みたことを隠さず、「カルロスと私は、ともに仕事をする機会を何度か逃したのは事実だ」と認め、「ジュニアフォーミュラでも、ルノーでも、ザウバーでもそのようなことがあった。でも彼は私のところに来なかったので、私がフェラーリに加入して彼のところに来たんだ!」と冗談めかして語った。 サインツがスクーデリア在籍中にチームに何をもたらしたと思うかと尋ねられると、バスールは「私が在籍した2シーズンで彼がチームに何をもたらしたかはよくわかっている。私ははっきりと見ることができる」と答えた。 「カルロスは、アプローチの仕方と精神力の強さにおいて、非常に安定した人物でありドライバーだ。ジェッダで手術を受けた後、メルボルンでレースに復帰して優勝したときの彼の驚くべき精神力を見てほしい! それが、私が彼をとても高く評価している多くの理由のひとつであり、また私が彼と非常にうまくやっている理由でもある。私は彼の父親とも非常に仲がよく、偉大なチャンピオンとしての彼を心から尊敬している」 「つまり、こうしたことのすべてを考慮して、我々は選択をしなければならなかったのだが、それは簡単なことではなかった。現時点で、非常に優秀なドライバーがふたりいる。パフォーマンス面では非常に近いが、選択を迫られた。それは難しいものだった」 またバスールは、サインツがチームメイトのルクレールにレベルアップを強いて、ルクレールをより完成度の高いドライバーにしたとまで称賛した。 「昨年、モンツァでポールポジションを獲得したのもカルロスだったこと、シンガポールで優勝したのも彼だったこと、そしてシャルルにプレッシャーをかけ、シーズン終盤に結果を出してレベルアップさせたのも彼だったことを忘れてはならない。そしてその調子は今シーズンも続いている」 そうした状況のなかで、バスールが今年1月にサインツに電話をかけ、彼に契約を更新しないことを伝えなければならなかったのは、非常に難しいことだった。 「私の人生で最もつらい電話のひとつだったが、カルロスに決定事項を伝えなければならなかった。その知らせに対する彼の反応は極めてプロフェッショナルなものだった。もちろん、彼にとってその知らせは受け入れがたいものだった。しかし1時間後には、我々にはまだ1シーズンが残っており、全力を尽くして望む結果を達成しなければならないので、最後のレースの最終ラップの最後のコーナーまでプッシュしようと、彼はすでに私に話していた。そして、それが彼がシーズンを通して示してきたメンタリティだ。それは並外れたものだと私は思う」 [オートスポーツweb 2024年10月16日]