地域DX・地域創生の担い手となる「ケーブルテレビ」に自治体関係者からも熱い視線
■地域に寄り添いIoTソリューション導入をスピードアップ 日本ケーブルテレビ連盟、日本CATV技術協会、衛星放送協会が主催するケーブルテレビ業界最大のイベント「ケーブルコンベンション2024」および関連イベント「ケーブル技術ショー2024」が、7月18日(木)・19日(金)の二日間にわたり東京国際フォーラムで開催された。 【画像】ケーブルテレビ事業者と自治体が連携して進める地域DXの事例を紹介 各種の講演やビジネスセミナー、技術展示会場には、ケーブルテレビ事業者をはじめ、放送事業者、工事事業者、官公庁・団体・自治体関係者、番組供給事業者などが来場して盛り上がりを見せた。 94社・83ブース・220小間の展示規模で行われた「ケーブル技術ショー2024」は、地域共創・地域DXを推進していく想いを込め、「Let’s join DX with Cable TV!」を開催コンセプトに掲げ、2日間合計で12,586名(前年対比117.6%)が来場した。 展示コーナーには新たに「地域DX・地域創生展示コーナー」が開設され、同時に会場内のオープンステージで催された主催者セミナーでは、「自治体・ケーブルテレビ連携型」地域DX事例紹介として、(株)射水ケーブルネットワーク、(株)秋田ケーブルテレビ、(株)ZTV、(株)TOKAIケーブルネットワークの取り組みが紹介された。 7月19日には秋田ケーブルテレビの主催者セミナーを開催。自治体がIoTプロジェクトを進めていく上で、パートナーとしてのケーブルテレビの強みが紹介された。 同社代表取締役社長・末廣健二氏は「日本ケーブルテレビ連盟が示した『2030ケーブルビジョン』では、ケーブルテレビ事業者が地域DXの担い手になることが謳われているが、これまではできていなかった」と昨年4月にBtoG事業を立ち上げたという。 高度な通信・映像技術を誇るケーブルテレビ事業者としての豊富な技術力を活かし、安全で効率的なデータ管理、AIやIoT技術を用いた映像解析やデータ分析を提供。水位センサー、積雪深センサー、獣害ワナセンサーなどの各種IoTセンサーやIPカメラを用意して、地域ごとに異なる課題に対応したIoTソリューションを提案する。 「秋田県25市町村に提案していこうとスタートを切ったが、課題はどうやって広めていくかということ」と語る末廣社長が結成したのが、各部署から選ばれた6人の女性社員で構成されるIoTプロジェクトチーム「コト・ウル」だ。 コト・ウルのメンバーは、「自治体に寄り添えるのが強み。困っていることをより詳しく聞き出すことができる」「地域に根差しているので、安心して任せていただける」「企業と自治体の間に入ることで、よりスムーズに工事が進められ、IoTソリューションのスピードアップが図れる」などケーブルテレビ事業者ならではの強みをアピールした。 昨年8月に活動をスタートし、これまでに秋田県全25市町村のうち22の自治体を訪問。秋田市のアンダーパスでの河川水位監視、大館市と八郎潟町での積雪監視、潟上市と男鹿市での河川監視、由利本荘市での防災監視にIoTソリューションが導入されている。 リーダーをつとめるテクニカルクリエイト本部サブマネージャー・遠藤和幸氏は、ケーブルテレビ事業者だからこそ果たせる地域DXにおける役割として、ケーブルテレビが地域に密着した事業者であること、多様なユースケースに対応可能であること、地域住民への情報提供ツールを保有していることの3点を挙げ、「ケーブルテレビ事業者こそ、地域DXの担い手に相応しい」と訴える。 さらにコト・ウルのメンバーから「実証実験がじわじわ増えてきた。このまま実装化していければ」「導入事例が増えることで、これまで関心を示さなかった自治体にも、興味を持って話を聞いていただけるようになった」と取り組みが加速している。 遠藤氏は、由利本荘市との取り組みは、水害対策にとどまらず、地域DXを加速させる切り札として他の自治体にとっても参考となるモデルケースになり、「パートナーとしてのケーブルテレビの役割、期待が高まっている」とさらなる事業拡大へ意気込みを示した。 「ケーブル技術ショー2024」の会場には全国から自治体の職員も多数来場した。地域DXを進めていく上で、頼もしいパートナーとしてのケーブルテレビの存在が注目を集めており、秋田ケーブルテレビのセミナーでも自治体職員から質問が寄せられていた。 なお、「ケーブル技術ショー2024」で実施された講演やセミナーは「アーカイブ視聴」でも提供されており、日本CATV技術協会のホームページで8月31日(土)まで開催しているオンライン展示会で視聴することができる。
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純