アメリカ人が大好きなゴジラとコングが大暴れ!開き直った怪獣ファーストな物語『ゴジラxコング 新たなる帝国』
ゴジラ愛に満ち溢れていることが痛いほどわかる
日本でも翻訳版が出版されているジェレミー・ロビンソンやマット・フランクによるアメコミ版を見ても、日本に負けないどころか一般層が知にないほどにマニアックなネタも入っており、ゴジラ愛に満ち溢れていることが痛いほどわかる。 そしてキングコングも同様。そもそもゴリラのキャラクターは、全般的にアメリカでは人気が高く、様々なコミックや映画などで力強いゴリラのキャラクターが描かれてきたが、キングコングはそのなかでも格別。 今作の場合は、どちらかというとゴジラよりも、コングにとっての自分探しの物語がメインとなっていることもあり、ゴリラ同士の会話シーンが多いのだが、何より凄い点は、会話に字幕など存在しないというのに、何を言おうとしているのかがわかること。その点では、モンスター・ヴァース版「猿の惑星」と言っても過言ではないし、VFX技術の進歩を改めて感じさせる。 さらにはアメリカ人の好きなゴジラ怪獣上位のモスラが再登場する。今作では『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)で批判されたデザインとカラーリングも、日本テイストに改善されるなど、徹底して全世界の怪獣ファンのために良くしていこうという、細部にいたる怪獣ファーストな姿勢には感動すら覚える。 前作のメカゴジラを相手としたゴジラとコングのタッグバトルも凄かったが、今作ではさらにスケールアップ。そんなクライマックスを観るだけでも意義のある作品だといえるのだ。 今後この「モンスター・ヴァース」シリーズが、いったいどこに向かっていくのだろうかという不安はある。しかし、まだまだ怪獣プロレスは観ていたいという欲求も植え付けられることから、不安と期待が入り混じった複雑な気持ちになって劇場を後にすることになるかもしれない……。 【ストーリー】 怪獣と人類が共生する世界で、未確認生物特務機関:モナークが察知した異常なシグナル。交錯する<地上世界/ゴジラテリトリー>と<地下空洞/コングテリトリー>。ついに一線を越える<王(ゴジラ)>と<王(コング)>の激突のその先には、我々人類が知る由もなかった未知なる脅威が待ち構えていた。「vs」ではなく「x」、そして[新たなる帝国]が意味するものとは?世界は今、目撃する……。 【クレジット】 [出演]レベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ダン・スティーブンス、カイリー・ホットル、アレックス・ファーンズ、レイチェル・ハウス、ハウス・チェンほか [監督]アダム・ウィンガード [脚本]テリー・ロッシオ ジェレミー・スレイター サイモン・バレット [製作]レジェンダリー・ピクチャーズ ワーナー・ブラザース (C)2024 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
バフィー吉川