「小児性愛は依存症の一種。誰でもなりうる」…医師が語る加害者治療【こども・若者の性被害をなくそう】
■社会の中で治療を
加害者を刑務所にとりあえず入れて治療すればいいなどと言われるんですが、再犯リスクがある所で、治療しないと効果が出ない。例えば刑務所内ではなく、社会に出てきて、覚醒剤を使おうと思えば使える場面で、自分でコントロールできるようになるのが治療の目標。性犯罪も同じで、刑務所の中に女性や子どもがいるわけではない。そういう中で色々教えても、社会に出て来て、女性や子どもと接触した時に、そういう行動を実際にやろうとしてしまう。そういうリスクのある状況で本人のコントロール力を身につけてもらうことが必要です。 ──社会の中で治療するには、周りの理解が必要です 加害者本人の問題だけに意識が集中しがちですが、その背景には例えば対人関係、仕事のストレスとか様々な要因があるので、周りにいる者が何らかのサポートをしないと、再犯を防ぐことは難しいでしょう。 また、特に小児性愛は、周りから見ていても兆候があると思うんですね。そういう動画を見ているとか、目線がこどもに向かっているとか。盗撮も犯罪になりえますけども、そういう関連の写真を撮ったといったことを周囲が気付いたならば、できるだけ早い対応を考えた方がいいと思います。 ──こどもの性的なことを描いた漫画などを見て楽しむ人と本当に加害行動をしてしまう人は何か違いがあるのでしょうか それは意外と難しい問題で、例えばギャンブルは禁止されていますが、パチンコとかは事実上認められていて、人々のストレス発散の役割を果たしているとも言われる。でも、一部の人がそこにはまるというか、関心が向きすぎるとギャンブル依存症や様々な問題を引き起こしてしまう。それと似ていて、ネットなどにあふれているアダルトな動画、画像なども広い意味では抑止力として働いているとも言われていて、ただ、実際にそれを行動に移す、犯罪を犯す者が一部にいる。かなり複雑なんですけども、見るだけでなく、行動してしまいそう、という自覚がある人は早めに治療を受けてもらうのが良いと思います。そういった兆候がある時、家族に叱責されると、本人は反発したり、隠したりすることにつながる。あくまで病気の症状なんだという見方に変えてもらえると、周囲の対応の仕方も変わるのではないか。本人が悪い、極悪人、ではなくて、病気なのだから、それを治すようにする、と。