クリスマスを迎えるデトロイトが直面する破たんという現実
■人口70万弱の街が抱えた180億ドルの負債 デトロイトの市内中心部にあるキャンパス・マルティウス公園内に設置された高さ約15メートルのクリスマスツリー。先月行われたその点灯式には多くの市民が集まりました。かつて自動車産業で賑わった街は、破産法を申請して初めてのクリスマスを迎えようとしています。一見しただけでは、他の都市同様にクリスマスを祝うムードにあるデトロイトですが、財政破たんの影響は、さまざまな分野で大きな影響を及ぼし、街の将来は前途多難です。
米ミシガン州の連邦破産裁判所は12月3日、7月に破産法の適用を申請していたデトロイト市に対し、連邦破産法第9条の適用を認める判断を下しました。破産申請時にデトロイト市が抱えていた負債総額は実に180億ドル(約1兆8000億円)。アメリカの自治体の財政破たんとしては過去最大の規模です。最新の調査によると、今年7月の時点でデトロイトに住む人の数は約68万人。180億ドルの負債総額はアンバランスにも思えます。 債権者への返済プランの一環として、デトロイト市の美術館などに展示されている美術品約2800点を競売にかける計画が現在進行中で、それらの中にはゴッホの自画像といった有名な作品も。しかし、美術品売却で得られる金額は最大で8億ドル(約800億円)程度とされており、「焼け石に水」との声も少なくありません。 ■街に行く理由がなくなった 「デトロイトに行く理由がありません。危険なイメージもありますし、買い物や食事をする場所も減る一方なので、基本的に普段の生活は郊外すませています。最後にデトロイトに行ったのは8月ですね。パスポートの更新で行きました」 そう語るのは、デトロイト郊外に住むアメリカ人女性。彼女の話によると、治安の悪化や公共サービスの質の低下に嫌気がさしたデトロイトからの「脱出組」が続々と郊外に住み始め、郊外の集合住宅などは軒並み満室とのこと。