クリスマスを迎えるデトロイトが直面する破たんという現実
米メディアによると、デトロイトでは通報から現場に警察官が到着するまでの平均時間が58分(アメリカ国内の平均は11分)。公立学校における学力低下も問題視されており、学力テストの結果は他都市の平均よりもはるかに低く、小学校4年生を対象にした算数のテストで「優秀」な成績を収めた割合は他都市の平均が33パーセントなのに対し、デトロイトは僅か4パーセントでした。 ■デトロイトを破たんに追い詰めた原因は何か? デトロイトは自動車産業の街として知られており、米自動車産業の衰退がデトロイトの財政破たんを引き起こした原因にも思えますが、実際には人口減少と市職員に対する年金などの支払いが一番の原因だったとする見方が強いです。破たん前、市の予算の約4割は年金や債務処理にまわされていました。破産法適用の条件として市職員の年金カットが挙げられていますが、労働組合からはすでに反発の声が噴出しています。 前述したように、デトロイトの現在の人口は70万弱。1950年に実施された国勢調査では、市の人口は180万人でした。この頃をピークに街のドーナツ化現象が始まり、2013年までに人口の6割が街から消えたわけですが、減り続ける人口や税収を横目に、デトロイト市に勤務していた退職者には年金が支払われ続けてきました。 ■デトロイトは特別なケースではない デトロイトの破たんは、負債総額の大きさも手伝って大きなニュースとなりましたが、過去3年間でデトロイトの他に、7つの自治体が破産申請を行っています。エネルギー事業やリゾート開発の失敗など、自治体によって破たん原因は異なりますが、今後さらに破たんに直面する可能性のある自治体が20近くあると指摘する報道もあり、アメリカの自治体にとって珍しい話ではなくなりつつあります。