「被災地に行くときはいつも不安で帰る時は虚しい」伍代夏子 売名でもなんでもいい、福祉活動を20年続けて思う「葛藤と本音」
だから被災地で「ありがとう」って言われたかとか、そんなことどうでもいいんですよ。お礼を求めないほうがいいですね。「何しに来たの?」って言われることもあるから。 そもそも行くときはいつも不安で帰る時は虚しい。力不足だね。役に立たないねって言いながら帰ってきて、もう辞めようね。それにここだけってわけにもいかないでしょ。あっちも困ってる人もいるよ。いくら必要なものがあってもたりないし、もう辞めようって話してます。
それでも何か起こると、いやいや、やっぱり行こうかって。何かしなきゃ、可哀想だし。寒いって言ってるよ。カイロ、カイロ、カイロ持ってこう…!ってその繰り返し。
■能登の震災で感じていること ── 夫婦でご多忙だと思いますが、災害が起きてすぐに行けるものなのでしょうか? 伍代さん:たぶん、長いことやっているからすぐ動けるんじゃないですかね。そうじゃないと行っても何をしていいかわからないし、向こうから「くるな」と言われるかもしれない。でも、私たちが行くことで一緒に連れてって言う人もたくさんいるし、何をすればいいか教えてって聞いてくる人もいます。そうして少しずつ輪が広がって、向こうもちょっと助かるっていうのであれば、行けばいいのかなと思います。
── 今年は元旦に能登半島の地震がありましたが、どの時点で現場に行こうと決めましたか? 伍代さん:地震が起きた時点から、これはちょっとすごいね。やらなくちゃね、となっているんです。でもまだ行けない。入れない。入ったら邪魔。行ったらわかりますが、被災地も忙しくて大変なんです。ボランティアに来た人が係の人にどこに行けばいいですか?と聞いても、現地でも対応している余裕がないんです。そういう段階のときは迷惑になるので様子を見る。行くとしたらタイミングを見て、寝袋や食べ物、飲み物、簡易トイレも持って、車で行くようにしています。
── 被災地の復興にはまだまだ課題が多いと思いますが、以前に比べてニュースや報道で被災地の状況を見る機会が減っている印象があります。 伍代さん:風化ですね。まだまだ行くべき。能登だけでなく、宮城や岩手、熊本とか。宮城はコロナ禍で4年行けていなくて。やっぱりもう来ないんだなぁって思われているとしたらツラいですが。継続って大変なことだけど、大事なことですよね。 能登は、今は炊き出しが終わってお弁当ばっかりになっている時期かもしれない。お弁当も飽きちゃうんですよ。今なら焼きそばやラーメンとか作ってあげると喜ばれる。本当は1か月に1回、「今月は誰々行ってらっしゃい」って仲間内で回せればいいと思うんですそのための基金を立ち上げようという話も出ていますが、そのお金が使えるようになるまで、今どうするかですね。