S&P500種、年内のさらなる上値余地は限定的か-MLIV調査
ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は、割高な株価バリュエーションを示す尺度として、経済規模に対するS&P500種の時価総額の比率を挙げる。1990年ごろ以降、2021年の株価急騰時を除き、この比率がこれほど高まったことはない。
「われわれはバブルの中にあり、今年後半に景気がついに減速し、株価収益率が縮小するリスクが極めて高い」とオローク氏は分析。「長期投資家にとって、株式を購入するには非常に危険な水準だ」と指摘した。
今年これまでのS&P500種の約15%上昇の主な原動力となった人工知能(AI)は、最も大きな売りの引き金になり得ると見られており、回答者の31%がその点でのネガティブサプライズを警戒している。
AIの代表的銘柄であるエヌビディアを筆頭にいわゆる「マグニフィセントセブン」と呼ばれる主要ハイテク企業が利益成長をけん引しているが、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析によると、向こう今後数カ月でこれら銘柄の影響力は弱まる公算が大きい。
経済に対する不安も最大の関心事となっている。回答者の約27%は、失業率の上昇に伴い株価が下落する可能性があると回答。約4分の1は、インフレ率が予想外に上昇し、連邦準備制度が金融政策をより長期にわたって据え置くリスクを指摘した。
5月の米失業率は4%と22年初め以来の水準に上昇。労働市場は「変曲点」に立っており、労働需要がさらに軟化すれば求人だけでなく雇用にも打撃を与える段階にあると、ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは分析している。
調査は6月17日から21日にかけてブルームバーグ・ニュースの読者を対象に端末とオンラインで実施され、回答者にはポートフォリオマネジャーやエコノミスト、個人投資家が含まれる。
原題:Stocks’ Bull Run Has Little Upside Left in 2024: MLIV Survey(抜粋)