青森県内の原子力「共創事業」に国交付金25億円 31日に工程表提示
原子力施設と青森県内の立地地域の共生を議論する国主導の「共創会議」で、国や事業者、地元が一体となって実現を目指す防災、産業創出といった「共創事業」への充当を想定し、国が25億円の交付金を用意していることが30日分かった。国は31日に開く第3回会合で具体の事業を盛り込んだ「工程表」を示し、本格的な検討に着手したい考え。 共創会議はこれまで、立地地域の将来像を「安全・安心の確保を前提とした共生」と掲げ、防災拠点や避難道の整備、新産業創出、エネルギー関連人材の輩出などを目指すとしてきた。 国の交付金は単年度5億円を上限とし、5年間を想定している。国は工程表で、立地4市町村長がこれまでの会合で提案した内容を中心に、検討の俎上(そじょう)に載せる事業を選定。原子力災害に対応可能な医療体制の構築には「むつ総合病院新病棟建設」「総合検診センター整備」を挙げた。防災拠点の整備には「防災機能を有した道の駅」「国営公園の整備」などの検討に早期に着手するとした。 避難経路の整備では「大間・函館航路フェリー大函丸の更新」の検討に、2025年に着手する。下北半島縦貫道路などの主要な避難道は「整備を促進する」とした。新産業創出では「農業・医療分野の研究開発拠点化」「むつ小川原港の整備・拡充」などの検討を早期に始めるとした。「ハイテクフードバレー推進」「冷凍加工団地整備」も盛り込んだ。 事業ごとに国や県、自治体、原子力事業者が主体となって取り組む。具体的な各事業は、共創会議の下部組織で検討を深める。工程表に盛り込む施策は適宜、追加や拡充を図るとした。 共創会議には宮下宗一郎知事、立地4市町村長をはじめ、経済産業省や文部科学省、電気事業連合会、県内で原子力事業を手がける5社などが参画している。