「気持ちが出過ぎちゃって...」名古屋戦で“ヒーローになりかけた”磐田DF森岡陸のかける思い「ヘディングが強いキャラを奪われないように」
ルヴァン杯の長崎戦でアピールできるか
その意味でも名古屋戦で、守備面だけでなく、攻撃面でも貢献してヒーローになることで、横内監督にも大きくアピールできたはずだった。森岡は「去年、やっぱりやってない分、今日の試合とかも僕、スタメンの準備をしてたんですけど、去年は本当に試合に出てないので。監督の信頼を勝ち取れてないなと思った」と正直に、悔しさを口にした。 4試合ぶりのスタメン出場だった伊藤はコンディションが回復して、ほぼぶっつけ本番での試合だったようで、横内監督も森岡との交代がコンディション面も考えてのことだったと隠さない。おそらく、順当なら次節のアビスパ福岡戦も、リカルド・グラッサと伊藤のセンターバックコンビになることが予想される。しかし、森岡には評価を覆すチャンスがある。 4月17日に行なわれるルヴァンカップの2回戦で、磐田はJ2のV・ファーレン長崎とのアウェーゲームに挑む。長崎は週末のJ2で徳島ヴォルティスに6-1で大勝しており、J2でも磐田と同じ静岡県勢である首位の清水エスパルスを勝点1差で追いかけている。そしてチームにはJ2で6得点のエジガル・ジュニオと、昨シーズンのJ2得点王で現在5得点のフアンマ・デルガドがいる。 「そもそも長崎のタレントがJ2のレベルじゃないですよね。フアンマ、エジガル...」と語る森岡にとって、ルヴァン杯はセンターバックで先発し、評価を高めるビッグチャンスだ。 もう一人、卓越したジャンプ力を誇る20歳のDF西久保駿介にもヘディングでの得点が期待されるが、森岡は「ヘディングが強いキャラを奪われないように、僕が決めていきたいです」と笑顔で力を込めた。 J1での戦いに向けて、一挙15人を補強した磐田はここからフレッシュな戦力の活躍も飛躍の鍵を握るが、この遅れてきたヒーロー候補生を忘れるべきではない。 取材・文●河治良幸