バルサ戦で響き渡る「クボ」コール!「タケ、君は最高だ」久保建英がソシエダでどれだけ特別な存在となったのか…現地記者が綴る
久保は私たちにとってのマラドーナ、メッシ、ヤマル
久保が自らゴールを決められなかったのも、チームメートたちが彼の供したチャンスを生かし切れなかったのも残念だが、しかし背番号14の圧倒的プレーによってラ・レアルが試合の流れを引き寄せたのは紛れもない事実だ。攻撃面だけでなく、強度あるプレスによって守備面でも大きく貢献していた久保は、ラ・リーガのマン・オブ・ザ・マッチに輝いたが、彼以外が選出されることは絶対にあってはならなかった。実際、アノエタの観客は、試合終了後に「クボ! クボ! クボ!」と、その名を叫び続けていた。そのチャントに笑顔で応じていた彼は、胸を張って誇りたい私たちの一人。愛すべき日本人である。 「今日、僕たちは魂のプレーを見せました。このユニフォームを着てプレーしてきた中でも、最高の試合の一つだったかもしれません。明確なチャンスを何度も迎えましたし、3-0にすることだってできたはずです……。でも、不満は言いませんよ。大切なのは勝ち点3を獲得したことですし、明日は町でこの勝利が話題になっているはずです」 「ラ・レアルでの101試合目に最高のプレーを見せられた感想? とても良い感じです。僕はラ・レアルの一部だと思っていますし、皆からの愛情も感じられています。人々は僕だけでなく、チーム全体にも拍手を送ってくれていましたね」 「本当のことを言えば、辛かった。少し辛かったんです。試合で負けた後、スタンドへ向かって……皆は元気づけてくれますが、自分が拍手を受けるのに値しないことは分かっていたんです。だけど、今日は完全に拍手を受けるに値しましたし、人々がこのラ・レアルを信じるきっかけになったように思います」 ロビン・ル・ノルマン&ミケル・メリーノの退団と新加入選手の適応不足で苦労を強いられる今季のソシエダ。久保は少し前に「僕がチームを引っ張りたい」と言ってくれたが、もちろん、うまくいかないもどかしさだってあったのだろう。だが今回のバルセロナ戦で、あの言葉は完全に体現された。ラ・レアルはアノエタで、マラドーナのバルセロナ、メッシのバルセロナを負かしてきたが、久保は私たちにとってのマラドーナ、メッシ、ヤマルになりつつある。それでいて私たちをいつも思いやってくれる特別な、本当に特別な存在だ。久保が笑えば、ラ・レアルが笑い、人々も笑うのである。 これからフットボール界はインターナショナルウィークに突入。ラ・レアルはその後ビルバオで、アトレティック・クルブとの伝統のバスクダービーに臨む。真なるフットボールの試合が続くが、私たちに恐れなどない。それは無限にも近い可能性を解き放ち始めた久保が、このチームを引っ張っているからにほかならない。 タケ、やっぱり君は最高だ!