輸入からシェア奪還 農水省が国産野菜拡大へ推進協 加工・業務に照準
農水省は26日、需要が高まる加工・業務用向けの野菜を中心に国産の利用拡大につなげる「国産野菜シェア奪還プロジェクト推進協議会」を設立した。同日、東京・霞が関で設立シンポジウムを開き、生産・流通・実需の関係者ら約280人が参加。各品目で国産が品薄となる時期に輸入が増える傾向を踏まえ、周年で安定供給できる環境づくりの重要性を共有した。 国内で消費する野菜のうち、6割が加工・業務向け。このうち輸入は3割に上る。 協議会は、実需や生産者などへの聞き取りで課題を洗い出し、タマネギやブロッコリーなど各品目で必要な時期や量、品質などを取りまとめて共有、生産と実需のマッチングを後押しする。 5月中に特にニーズの高い2、3品目で先行して取り組み、6月以降、マッチングに向けた説明会などを各地で開く予定だ。 シンポジウムでは、生産や流通の関係者が事例を報告した。加工・業務向けのブロッコリー生産を手がけるアイファームの池谷伸二代表取締役は、収穫予測システムなどの活用で欠品を防ぎ、実需の要望に応えられる栽培手法を説明した。 農畜産業振興機構(alic)の津川貴久理事は、生産者と実需者を結ぶマッチングサイト「ベジマチ」を紹介した。 協議会の設立を宣言した坂本哲志農相は、輸入環境の不安定化による輸入野菜の価格上昇などを踏まえ、「戦略的な国産への切り替えが必要」と強調した。 坂本農相は同日の閣議後会見でも、パネルを掲げてプロジェクトの発足をアピールし、「国産野菜の活用を少しでも進めていきたい」と意気込みを語った。 写真説明:閣議後会見で、プロジェクトについて説明する坂本農相(26日、東京・霞が関で)