大の里、優勝に王手 昇進目安に到達にも「まだ終わってない」【大相撲秋場所】
◇20日 大相撲秋場所13日目(東京・両国国技館) 大の里が大きな大きな自己最多タイの12勝目をつかんだ。琴桜に挑戦した結びは土俵際でもつれて、軍配は大関に。しかし、物言いの末、同体となって生き残った。取り直しでは、右差し&左おっつけの今場所必勝パターンで寄り切り。大関昇進の目安となる三役での直近3場所で合計33勝を積み上げ、勝てば2度目の優勝という状況まで自力でたどり着いた。 「勝ちはないと思った。よくて、もう一丁と」と正直に打ち明け、土俵下の自身を振り返った。前日の初黒星のショックはなかった。「後半は気持ちだと思っている。負けて、より一層集中できた。気持ちを切らさず、土俵下で待っていた。(取り直しは)落ち着いてましたね」と振り返った。 時間いっぱいで汗を拭ったタオルを丁寧に折り畳んで呼び出しに渡す。どんな取組でもぶれることはない。原点は相撲留学し、新潟県糸魚川市で寮生活を送った能生中、海洋高時代。身支度を整え、慌ただしい朝も寮と道場の掃除を欠かさなかった。海洋高・田海哲也総監督の教えは「勝ち負けだけじゃない。土俵の外も大事」。6日目に続いて国技館に足を運んだ恩師に白星とりりしい姿で恩返しを果たした。 勝てば賜杯の14日目は豊昇龍戦が組まれた。過去1勝3敗で、唯一の白星は先場所の不戦勝だった。歓喜の舞台は整った。大関昇進の問題を預かっている日本相撲協会審判部の高田川部長(元関脇安芸乃島)は「何もないです。全ては千秋楽です」。大の里も分かっている。達成感はまだない。「場所は終わっていない。集中してやるだけ」。賜杯と大関の地位の両取りまで白星を連ねて突っ走る。
中日スポーツ