北海道東トレイル開通祝う 弟子屈で式典とシンポ
北海道の釧路湿原と阿寒摩周、知床の三つの国立公園を結ぶ「北海道東トレイル」(全長約410㌔)の開通式典とシンポジウムが5日、釧路圏摩周観光文化センターで開かれた。沿線自治体の首長や国、道の関係者、地元観光事業者らが開通を祝うとともに、道東が誇る多彩で多様な風景、風土を楽しみ、そこに生きる人々と交流する「長く歩く旅」の舞台となるトレイルのこれからについて考えた。 同トレイルは、釧路市の幣舞公園─羅臼町のしおかぜ公園を結ぶ約350㌔のルートと、道の駅摩周温泉─十勝管内足寄町のオンネトーへと抜ける、自転車推奨の60㌔のルートで構成されている。日本最大の湿原やカルデラ、釧路川流域の酪農地帯、斜里岳の裾野に広がる畑作地帯、世界自然遺産知床の海などを経由する。 式典では自然環境局国立公園課の佐々木真二郎国立公園利用推進室長が「この式が、地域の皆さんでトレイルを育てていく新しいスタートラインになれば」。徳永哲雄町長は「町内に設置した川湯トレイルオフィスが三つの国立公園と沿線のまちをつなぐ港になるよう、精いっぱい努力したい」とあいさつ。沿線の市町村長や国、道の関係者たちが壇上で手をつなぎ、一斉に上げて固い結束を示した。 シンポジウムでは、米国三大トレイルのうち二つを踏破したハイカーの清水秀一氏と北海道大学観光学高等研究センターの木村宏客員教授、NPO法人みちのくトレイルクラブの松川亮太統括本部長がそれぞれ講演したほか、オホーツク管内津別町のNPO法人「森のこだま」の上野真司代表、北海道東トレイル運営事務局の荻野峻宏局長も交えたパネルディスカッションが行われた。 上野氏は「各自治体が互いの違いを認め合えれば、間違いなくこのトレイルは成功する。議論できる場をつくることが今後の大きな課題」と語った。
釧路新聞