“思い出の一着”に新たな命…洋裁歴50年の職人の技 亡き父のコートをリメイク、35年前のモーニングも復活『every.気になる!』
■「幸せになって」…娘への思い
依頼から1週間後、試着のために太田さんが来店しました。はくのは30年ぶりです。 駒井さん 「ちょっとゆるいかな?」 太田さん 「いや、こんなもん」 駒井さん 「それぐらいがいいね」 太田さんはウエストについて「いい感じ」と言います。思い出の一着がよみがえりました。 ──娘さんも驚くんじゃないですか? 太田さん 「そうでしょうね。私のこの姿は見たことないと思いますね。2人がこれから幸せになってもらえればいいな、そういう気持ちで送り出せる父親になれればいいなと思っています」
■亡き父が20年間愛用していたコート
ボタン1つからオーダーメイドの一着まで、どんな依頼も断らないというミモレ。大切な人が残してくれた一着をリメイクしてほしいという人も、この店を頼ります。 「父の昔着ていたコートなんですけど、私も思い出があったので残したいと思って」。思い出の品を依頼したのは高谷さん(41)。父の宏俊さんが20年間愛用していましたが、2年前に病気で亡くなったといいます。 高谷さん 「父は170cmくらいで、自分が着るには肩幅が大きすぎたりとか、難しいかなと思ったんですけど…」 大幅なサイズ変更だったため難しかったという依頼。両袖を取り外すなどし、サイズを一回り小さくするイメージです。「両サイドで。袖幅・ワキ幅」と駒井さん。ロングコートの修理費は2万5000円でした(費用は服の状態によって変わります)。
■「うれしい」…洋服がつなぐ思い出
1週間かけ完成しました。袖を通した高谷さんは「合ってる! いい感じですね」「着ていた父を覚えているので、うれしいなと思います」と満足げです。 懐かしい記憶もあるといいます。「高校生の入学準備で学校に教科書とか買いに行く時、父がこれを着て一緒に来てくれた。お守りみたいな存在かもしれないですね」 家族の思い出を、洋服がつないでいます。
■駒井さん「喜んでいる顔がうれしい」
駒井さん 「よそではやれないものを直しましょう、というのがモットー。お客さんの喜んでいる顔を見ると本当にうれしいです。それでやってこられたんだと思います」 その思いをきょうもつないでいます。 (12月4日『news every.』より)