こむら返りの原因はふくらはぎの血管に溜まった乳酸 予防法と即効性漢方薬を医師が伝授
「こむら返り」。夜中に突然起こったら、のたうち回ってしまいますよね。原因はふくらはぎの血管の中に「乳酸」という老廃物が溜まり、それが筋肉の痙攣を引き起こすためです。一番の予防は歩くことです。歩きすぎは乳酸を増やすので逆に良くないのですが、歩くことでふくらはぎの筋肉の収縮がポンプの役割をして、血液を心臓に送り返し乳酸をしっかり代謝する予防法です。乳酸以外にも血中マグネシウムの慢性的不足も大きな要因とされています。 これからの季節、歩くことも減り、さらに分厚い布団を着て寝ると足先が伸びてふくらはぎの筋肉(腓腹筋)が収縮し、こむら返りはさらに起こりやすくなります。ところがこむら返りには「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」という漢方が非常に有効で、私も寝る時は枕元にいつも2袋、ペットボトルのお水と一緒に置いています。 夜中に発作が起こったらすぐにベッドから降りて足踏みしながら(筋肉ポンプ)、薬を一度に2袋飲みます。この「芍薬甘草湯」と、あと風邪のひきはじめに効果がある「葛根湯」は漢方の中では珍しい即効性の薬で、こむら返りの時に「芍薬甘草湯」を飲んで5分も足踏みすれば痛みは治ります。 ところで最近、海外で一本の論文が発表されました。高齢者における夜間のこむら返りの治療効果について、ビタミンK2が有効であるという疫学研究です。日常的にビタミンK2を摂取することで夜間こむら返りの頻度、強度、持続時間が改善されるというものです。 論文では、ビタミンK2を1日1回180μg摂取することで、夜間のこむら返りの発生頻度が約3分の1に減り、痛みの強さも半分に軽減するとのことです。ビタミンK2の血管石灰化抑制作用や骨代謝改善作用が筋収縮の抑制作用に有効と考えられるが、さらなるメカニズムの解明が必要と締めくくっています。 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。