“真・熱・響”そして“闘”!現・帝劇最後の「レ・ミゼラブル」本公演開幕、吉原光夫らが思いを漢字で表現
ミュージカル「レ・ミゼラブル」の本公演が、昨日12月20日に東京・帝国劇場で開幕。これに先駆け昨日、同劇場でキャストの会見が行われた。 【写真】左からファンティーヌ役の木下晴香、生田絵梨花、昆夏美。 ミュージカル「レ・ミゼラブル」は、ヴィクトル・ユゴーの小説を原作としたミュージカル。劇中では、19世紀初頭のフランスにおける社会情勢や民衆の生活が描かれる。同作は1985年にイギリス・ロンドンで初演され、1987年に日本に初上陸した。なお現・帝国劇場は建て替えのため、2月に休館。今回は帝劇クロージング公演の一環として、同劇場で最後の「レ・ミゼラブル」が上演される。 去る12月16日からのプレビュー公演を経て行われた囲み取材には、ジャン・バルジャン役の吉原光夫、佐藤隆紀、飯田洋輔、ジャベール役の伊礼彼方、小野田龍之介、石井一彰、ファンテーヌ役の昆夏美、生田絵梨花、木下晴香が出席。キャストは「作品への思いを漢字1文字で表すなら?」という司会の質問に回答しつつあいさつした。 過去にもジャン・バルジャンを演じてきた吉原は「今の気持ちは“真”。僕自身も紆余曲折がありながらこの役に挑んできましたが、ジャン・バルジャンは光と影に引っ張られながら、“真ん中”で正しくあろうとする人。今回は彼の姿をよりしっかりつかめそう」とコメントする。“熱”の字を選んだ佐藤は「お客様も我々も熱い思いでこの作品を待っていた。熱い舞台を届けたい」と気合十分。初出演の飯田は「僕は“響”。全編、音楽の響きと共にストーリーを紡ぐミュージカルなので、全国のホールの音響とも調和しながら歌いたい。素敵な仲間たちと一緒に、最後までがんばります」と笑顔を浮かべた。 ジャベールとして3度目の出演となる伊礼は「僕は“繋”。今まで緊張で硬くなっていたけど、今回は少し解放され、ジャベールとして“神”や“星”とのつながりを感じつつ演じています」と手応えを語る。過去公演でアンジョルラスを務め、ジャベールを初めて演じる小野田は“揺”の字を選んだ。小野田は、ジャン・バルジャンとジャベールのキャストは劇中で1役のみを演じることに触れて「ジャベールの目線で作品を観て改めて『1人ひとりが、希望や愛に心揺さぶられて生きているのだ』と感動した。この感動を客席に伝えたい」と言葉に力を込めた。過去にアンサンブルとして出演し、ジャベール役に初挑戦する石井は“謝”を挙げて「カンパニーの方々に温かく迎えてもらいうれしかった。感謝の気持ちを返したい」と話し、「皆さんと一緒に新幹線で移動するのが楽しみ」とツアーへの期待を口にして記者を和ませた。 過去にエポニーヌ役を務め、初めてファンテーヌを演じる昆は“幸”をチョイス。昆は「新たな視点で物語を観られることが幸せ」と瞳を輝かせ、「学生時代から『レ・ミゼラブル』を何度も観劇し、エポニーヌ役で初めて帝劇に立ちました。今回の帝劇クロージング公演も覚悟を持って臨みます」と言葉に力を込める。コゼット、エポニーヌを経てファンテーヌ役を担う生田は、初めてコゼットを演じた2017年公演の囲み取材で、ファンテーヌ役だった知念里奈に「いつかファンテーヌを演じて」と言われたというエピソードを紹介。今の心境を表す漢字に“巡”を挙げた生田は「巡り巡って、この作品にまた携われてうれしい」と笑顔を見せた。さらに初出演の木下は「“闘”です」と回答し、「登場人物たちが命を燃やしていろいろなものと闘う姿がまぶしい。ファンテーヌがコゼットのため、命ある限り闘う姿を観てほしい」と観客にメッセージを送った。 取材会ではキャストが帝劇の思い出や、劇中の好きなシーンを明かす場面も。吉原は「この劇場では大先輩である山口祐一郎さんたちに囲まれ、ひよっことしてジャン・バルジャンを演じていたのに、最近僕が大御所扱いされていて不思議」と笑いつつ、「以前は帝劇に立つのが怖かった。でも今回は、劇場と手をつなぐ気持ちで公演ができたら」と劇場への思いを述べる。佐藤は、冒頭で司教が「ジャン・バルジャンは死んで生まれ変わる」と口にするシーンが好きだと言い、「人が変わるのは難しいこと。司教様の愛に包まれ、ジャン・バルジャンが変化するのが印象的で温かい場面です」と語った。 また伊礼は「ジャン・バルジャンの憎しみが愛になってコゼットに伝わり、マリウスとの出会いで次世代に光が受け継がれていくのが『レ・ミゼラブル』の大事なところ。ただ……本当にすみません、伊礼の毒舌が出ますが、若い頃は『コゼットとマリウスのシーン、面白くない!』と思っていたんです。だけどジャベール役をいただいて改めて観たら『なんて美しい場面なんだ』と泣いてしまった。だからコゼットとマリウスのシーンが一番好き」と作品愛を熱っぽく語る。伊礼が「そのシーンを観るたびに、自分の“闇”が浄化されていく」と続けると、吉原が伊礼をじっと見つめて「浄化されてなくない?」とぽつり。伊礼は「されてますよ!!」と大声で切り返し、記者を笑わせた。 最後は吉原があいさつした。吉原は「『レ・ミゼラブル』は苦しい立場の人々が、時代の“風”に抵抗し、最後まで人とつながろうとする姿を描く作品。ラストで我々が『民衆の歌』を歌うことで、お客様に『この時代をいかに生きるのか?』と問いかけます。だから作品のメッセージを受け取ったお客様にも、(より良い時代のために)何か行動に移してもらえたら。この先のツアー公演や、未来の『レ・ミゼラブル』にもぜひご期待ください!」と話し、取材を締めくくった。 東京公演は2月7日まで。本作はその後3月2日から28日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、4月6日から30日まで福岡・博多座、5月9日から15日まで長野・まつもと市民芸術館、25日から6月2日まで北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru、12日から16日まで群馬・高崎芸術劇場で上演される。 ■ ミュージカル「レ・ミゼラブル」2024・2025年公演 2024年12月16日(月)~2025年2月7日(金) 東京都 帝国劇場 2025年3月2日(日)~28日(金) 大阪府 梅田芸術劇場 メインホール 2025年4月6日(日)~30日(水) 福岡県 博多座 2025年5月9日(金)~15日(木) 長野県 まつもと市民芸術館 2025年5月25日(日)~6月2日(月) 北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru 2025年6月12日(木)~16日(月) 群馬県 高崎芸術劇場 □ スタッフ 原作:ヴィクトル・ユゴー 作:アラン・ブーブリル / クロード=ミッシェル・シェーンベルク 作詞:ハーバート・クレッツマー オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ 演出:ローレンス・コナー / ジェームズ・パウエル 翻訳:酒井洋子 訳詞:岩谷時子 □ 出演 ジャン・バルジャン:吉原光夫 / 佐藤隆紀 / 飯田洋輔 ジャベール:伊礼彼方 / 小野田龍之介 / 石井一彰 ファンテーヌ:昆夏美 / 生田絵梨花 / 木下晴香 エポニーヌ:屋比久知奈 / 清水美依紗 / ルミーナ マリウス:三浦宏規 / 山田健登 / 中桐聖弥 コゼット:加藤梨里香 / 敷村珠夕 / 水江萌々子 テナルディエ:駒田一 / 斎藤司 / 六角精児 / 染谷洸太 マダム・テナルディエ:森公美子 / 樹里咲穂 / 谷口ゆうな アンジョルラス:木内健人 / 小林唯 / 岩橋大 青山瑠里 / 新井海人 / 荒居清香 / 五十嵐志保美 / 石井麻土香 / 石津秀悟 / 石丸椎菜 / 伊藤広祥 / 岩橋大 / 宇山玲加 / 大泰司桃子 / 大津裕哉 / 笠行眞綺 / 鎌田誠樹 / 菊地創 / 北村沙羅 / 吉良茉由子 / 小林遼介 / 湖山夏帆 / 近藤真行 / 佐々木淳平 / 柴原直樹 / 島崎伸作 / 清水咲良 / 白鳥光夏 / 杉浦奎介 / 田川景一 / 丹宗立峰 / 土倉有貴 / 中村翼 / 西村実莉 / 般若愛実 / 東倫太朗 / 深堀景介 / 藤岡義樹 / 増原英也 / 増山航平 / 町田慎之介 / 町屋美咲 / 松村桜李 / 三浦優水香 / 三島早稀 / 宮島朋宏 / ユーリック武蔵 / 横田剛基 / 横山友香 / 吉岡花絵 / 蘆川晶祥 ガブローシュ:アッカヤ陽仁 / 大園尭楽 / 中井理人 リトル・コゼット:荒川寧音 / 井澤美遥 / 井手陽菜乃 / 内夢華 / 鞆琉那 / 平山ゆず希 ※12月16日から19日まではプレビュー公演。