テレビ局が放送事故恐れ山根会長生出演をNG。村田諒太への非難もウソ?!
山根会長の思い込みなのかもしれないが、特にロンドン五輪金メダリストで、現WBA世界ミドル級王者、村田諒太を非難する部分には、関係者が首をかしげる箇所が多かった。 「スッキリ」では、村田がフェイスブックに掲載した「そろそろ潔く辞めましょう、悪しき古き人間達」という発言についての感想を聞かれ「一人でメダルを取る力はありません」「生意気だよ!」とアマチュアボクシング界のヒーローを手のひら返しで非難し、こう続けた。 「世界選手権の何か月か前にアジア選手権が韓国でありました。森正代行が監督で行かれて(実際は団長)もう1回戦の内容が使いものにならないと。とんでもない試合をしたと。ボロボロの試合をしとるんです。森正代行から山根会長へ、こんな選手を使ったら日本の恥になりますから。真実を申し上げて、二度と海外遠征は使うべきじゃないと言われたんで、そうだねと。もう使わないことを決定致しました」 南京都高校時代に村田が恩師と仰ぐ故・武元前川先生をサポートする形で同部のコーチを務めていた西井一さんも、この発言には驚いたという。 「そんな話を聞いたことがありません」 実は、2011年7月のインドネシア大統領杯で国際大会で初優勝して評価が一気に急上昇。1か月後の8月に韓国で開かれたアジア選手権では、確かに村田は、2回戦でウズベキスタンの選手に完敗しているが、この大会には、村田を含む5選手が派遣されていたが、1回戦を突破したのは村田一人だけ。唯一、1勝を挙げている村田だけを「使えない」と、当時の森正団長が山根会長に語るのも不自然だ。 さらに山根会長は「日本に帰国して考えたら、この子は精神的な暗示を与えたら強い選手じゃないかと。もう一回チャンスを与えて精神的なメスを入れると伸びるんじゃないかということで森正監督との約束をやぶって私が世界選手権の代表に選びました」と続けた。 その世界選手権で、銀メダルを獲得した村田は、五輪出場切符をつかむことになるが、選手の派遣が会長の独断で決められていいものなのだろうか? それこそ不明瞭な選手選考を自ら明らかにしたと同じ。“奈良判定”と呼ばれる審判不正にもつながる連盟としてのガバナンスの欠如を表しているものだ。例えば、他競技で、世界選手権代表を、その所属団体のトップが独断で決めれば大問題に発展するだろう。 ロンドン五輪の決勝では、そこまでセコンドについていた人間が外され、急遽、山根会長の息子で、現在会長代行である昌守氏がセコンドについた。村田が決して望んだわけでもない謎の交代で、逆に精神的動揺を与えるようなものだったが、山根会長は、事前収録のインタビューの中で「政治的な考えでやった。アマでは同点になった場合、○×で決める。僕はカリスマ山根と言われている男、山根という名の息子を上げておけばマイナスにならない」と、その狙いを説明した。 実は、当時の日本、いやYAMANEの名に、そこまでの国際的政治力はなかった。この大会でバンタム級で銅メダルを獲得した清水聡が、2回戦でマゴメド・アブドゥルハミドフ(アゼルバイジャン)から6度のダウンを奪いながら判定負けとされた。この判定に抗議、AIBAが判定を覆すことになったが、実は、抗議には申請料が必要で、清水が「自分が抗議料を払うので抗議して下さい」と連盟に懇願したのが発端。清水が訴えなければ、そのまま泣き寝入りすることになっていたのだ。まして山根会長ではなく息子では何の効果もない。 息子の決勝でのセコンド起用は“情実人事”としか思えないもので、しかも「○×」に政治的な力を使おうとするのは、山根会長が否定している審判不正の“奈良判定”の構図と一緒ではないのか。しかも、関西のローカル番組では、明らかに村田への名誉毀損にあたるような憶測の発言まであった。あらゆるところで山根会長のテレビ出演での発言は墓穴を掘ることになったのである。