〝中国発〟感染症の正体「ヒトメタニューモウイルス」インドなどアジア圏で拡大 春節間近、インフル猛威「タミフル」供給停止も
ウイルスの性質や症状について、東北大学災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「高熱や鼻、のどの症状が多く、風邪の一種だ。ウイルスが確認された背景には検査技術が発達したことがある」と解説する。
世界保健機関(WHO)は7日、中国の状況について「報告数は冬の時期に予想される範囲内だ。異常な感染拡大の報告もない」との情報を公表した。中国の保健当局から医療体制の逼迫(ひっぱく)が起きているとは聞いていないとも付け加えた。
前出の児玉氏は「日本にも存在するウイルスなので、水際対策の効果はない。新型コロナやインフルエンザに比べるとリスクは低いが、基礎疾患を持っている人や、初めて感染した子供や高齢者は肺炎などで重症化する可能性も否定できない。どのような風邪のウイルスも、流行数次第では毒性が強まる恐れもあるので注意が必要だ」と説明する。
ただ、中国だけでなくインドや、インドネシアでも乳幼児の感染が確認された。ベトナムなど周辺の国も警戒を強めている。
中国では28日には春節に伴う連休も始まる。帰省や旅行に伴う中国内外の移動は延べ90億人に達するとみられる。
昨年1~11月に日本を訪れた中国人観光客は637万6900人で、前年同期比201・8%増だったが、春節の時期には大幅に入国者が増えることも予想される。
こうした背景から、X上では、「水際対策をしないと大変な事になるぞ?」「コロナの二の舞になる」「日本がノーガードだったらどうなる」と対策を求める声など投稿が相次いだ。
日本はどんな対策が求められているのか。
関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)は「感染症法上の1類や2類に該当しない場合、検疫を止めるといった法的根拠のある対策を講じることはできない。風邪の一種である以上、過度にパニックにならない限り、医療への影響はないと考えていい。一方で海外からの観光客が増えることに備えて、飲食店や観光施設も換気に注意するなど、コロナ禍と同様の対策はすべきだろう」と強調した。