ワールドコイン、グーグル・X・アップルの元幹部らを採用──プライバシーとセキュリティの強化を目指す
分散型IDプロジェクト「ワールドコイン(Worldcoin)」を構築するツールズ・フォー・ヒューマニティ(Tools For Humanity)は、プライバシーやセキュリティ、ID管理などの分野を強化するために4人の経験豊富な専門家を雇用した。 ダミアン・キアラン(Damien Kieran)氏は最高プライバシー責任者として入社する。同氏はX(旧Twitter)でもこの役職を務め、BeRealでは法務顧問を務めていた。 グーグル(Google)のAndroidセキュリティ担当ディレクターやコラボレーションソフトウェア開発会社アトラシアン(Atlassian)の最高情報責任者を務めたエイドリアン・ルドウィグ(Adrian Ludwig)氏は最高情報セキュリティ責任者に就任する。また、グーグル・ペイメンツ(Google Payments)のIDチームを率いたアジェイ・パテル(Ajay Patel)氏がワールドID(World ID)の責任者に就任する。 これまでアップル(Apple)やメタ(Meta)、テスラ(Tesla)で副社長や幹部を務めたリッチ・ヘイリー(Rich Heley)氏は最高デバイス責任者となり、生体IDデータを収集する手段であるワールドコインの網膜スキャン球を監督する。
データ保護規制当局から調査
ワールドコインの生体データ収集に対する独自のアプローチには賛否両論あるかもしれないが、人工知能(AI)と機械学習の革命が進むにつれて、人間性の証明とオンライン偽造対策の必要性が高まっていることは間違いない。今年は選挙で世界人口の半数が投票するため特にだ。 近年、ワールドコインはフランスなどの国のデータ保護担当の規制当局から調査を受けている。香港の個人情報担当プライバシーコミッショナー(PCPD)によると、今年これ以前にはワールドコインの虹彩スキャンと身元確認業務が香港のデータ保護原則に違反していると指摘されたという。 キエラン氏は、自身の新しい最高プライバシー責任者の役割は、同社がプライバシーに関する規制や枠組みに準拠していることを確実にし、特にプライバシー規制当局などの外部がワールドコインを支えるツールを理解し、透明性を持つことを確実にすることだと語った。 キエラン氏は声明で、「EUや世界各国の規制当局・データプライバシー担当者との連携を継続し、そこからの質問に答え、透明性を持って情報を共有し、よくある誤解を解くことを楽しみにしている。同時に、金融やIDのネットワークへのアクセスを向上させることで、個人にサービスを提供し続けていきたい」と述べた。 |翻訳・編集:林理南|画像:Worldcoin|原文:Worldcoin Hires Former Google, X and Apple Execs to Beef Up Privacy, Security
CoinDesk Japan 編集部