山口俊がコロナ禍のMLB挑戦で残した未練 セカンドキャリアで「アメリカに借りを返したい」
【「最後は横浜でやりたい」という思いがあった】 ――2021年の途中から巨人に復帰し、2シーズン在籍しましたが、思うような結果は出せませんでしたね。 山口 はい。拾っていただいてありがたかったんですが、特に2022年は配置転換もあって、自分自身燃え尽きてしまった感覚もあったかもしれません。結局そのまま自由契約となり、独立リーグの球団からお話をいただいても、「野球をやりたい」という気持ちが湧いてくることはなく、2023年の春に引退を発表しました。 ――もう野球に未練はありませんか。 山口 ないですね。完全に燃え尽きたし、やり切った感はあります。 ――そういえば、昨年12月に開催された『YOKOHAMA STADIUM 45th DREAM MATCH』では、久しぶりにベイスターズのユニフォームに袖を通し横浜スタジアムに登場しました。 山口 ベイスターズに声を掛けていただいて本当にうれしかったです。久々のハマスタのマウンド。まだプロデビュー前の度会隆輝選手にセンター前ヒットを打たれましたけど(笑)。 ――山口さんの名前がコールされると、ハマスタの観衆がどよめいた後、大きな拍手が沸き起こったのが印象的でした。 山口 ありがたかったですね。実は、最後は横浜でやりたいという思いが自分の中にありました。現役時代には叶いませんでしたが、今回機会をいただいてユニフォームを着てハマスタでファンの皆さんの前でプレーできたのは、僕にとって引退試合のような感じだったんです。球団にもファンの皆さんにも感謝しかありません。
【第二の人生は、実家から受け継いだ秘伝のちゃんこと共に】 ――そうだったんですね。さて、第二の人生を現在は『TANIARASHI』のオーナーとして歩んでいます。ちゃんこ鍋屋というと、相撲由来の和風な店内をイメージしますが、ここはシックな装いですね。 山口 六本木からは近いんですけど、人通りの少ない隠れ家チックな場所なので、自分がターゲットにしているお客様にはちょうどいいかな、と思っています。内装は和と洋の融合にこだわって、グレーを基調とした"和モダン"といった雰囲気にさせてもらいました。 ――なるほど。やはりオススメはちゃんこ鍋になるわけですよね。 山口 もちろんです。創業から57年続いている秘伝の出汁で作る『寄せ鍋ちゃんこ』は絶品ですので、ぜひ召し上がってもらいたいですね。元々は、(父・谷嵐関も在籍していた)時津風部屋のちゃんこ鍋がベースになっているのですが、それを一般向けに改良したものになります。オリジナルのつみれに糸こんにゃく、あと出汁をたっぷり吸った油揚げ。どれも絶品ですよ。 ――大分料理というと、あまり馴染みがないのですが、どういったものが名物になりますか。 山口 大分名物といえ、ばまずは『とり天』ですね。一度召し上がったお客様には、ほぼ100%リピートいただく美味しさです。それと、本店のある中津市の名物といえば『唐揚げ』なんですよ。 ――中津市は"唐揚げの聖地"ですもんね。 山口 はい。中津は唐揚げ熱が半端ない場所なんですよ。下味にかつお出汁と九州独特の甘いたまり醤油を使っていて、豊かなテイストに仕上がっているので、ぜひ食べてもらいたいです。あとは『牛肉のタタキ』や『山芋鉄板』、郷土料理である魚の漬けである『鯛のりゅうきゅう』なども人気がありますね。 ――ワインにもこだわりがあるとか。 山口 はい。オーガニックにこだわった白ワインをお求めやすい価格帯で提供しています。開店前に50~60種のワインを試飲して、これだ、というものを厳選しました。ちゃんこ鍋や大分料理と相性も抜群で、邪道ではあるのですが、個人的には白ワインに氷を入れてキンキンに冷やして飲むのが最高ですね。