桜川市、公募小説を映像化 市内舞台「ひかりさす」 市HPで5日公開 茨城
茨城県桜川市が公募した短編小説を基にした映像が製作された。「ひかりさす」と題した作品は、バスに乗った主人公の男性が亡き父の記憶をたどる約20分の物語。市内の名所旧跡を舞台に、四季折々の風景と家族の絆が表現されている。同市のホームページ(HP)で5日から公開が始まり、水戸芸術館の「水戸映画祭」でも同日上映する。 映像製作のきっかけは、2019年度から21年度にかけて発表した12枚の観光PRポスター「桜川の四季」。市内の風景を背景に、幼なじみの男女が成長する姿がイラストで描かれた。映像化に当たり、同市はポスターから着想した短編小説を公募し、優秀作を映像のシナリオとする企画を立てた。市商工観光課は「他にはないやり方で市の魅力を広くPRしたかった」と話す。22年度に短編小説を公募し、168点の中から同県つくば市の藤本希さんの「ひかりさす」が最優秀賞に選ばれた。 昨年6月から約1年間かけて市内で撮影が進められた。脚本と監督を務めたのは、映像製作会社「パブリックアート」取締役で、同県那珂市でミニシアター「あまや座」支配人を務める大内靖さん(43)。 出演者は、主演の木口健太さん(桜川市出身)をはじめ、斉藤陽一郎さん(同県古河市在住)、根矢涼香さん(同県茨城町出身)や、ともに「さくらがわ応援大使」で桜川市出身の安達勇人さん、桜川めぐさんなど、茨城県ゆかりの俳優らをそろえた。 監督の大内さんは、原作やポスターの世界観を意識して製作したという。「主人公の記憶の断片にある美しい景色として表現した」と話す。雨引山楽法寺(雨引観音)のアジサイや高峯のヤマザクラなど、四季の風景を織り交ぜながら、主人公が亡き父と向き合い、未来に向かっていく姿を描いた。大内さんは「桜川市がいい所だなと思ってもらえたらうれしい。家族や故郷を考えるきっかけになってほしい」と語った。 映像製作費は、小説の公募も含めて約560万円。作品は水戸映画祭で上映し、桜川市ホームページでも公開する。真壁、岩瀬、大和の3庁舎に設置したモニターでもショート版を放映する。同市の担当者は「ドラマ仕立てで、他の観光PR動画とはひと味違うものになった。桜川市を知ってもらうきっかけとして見てほしい」と呼びかけた。
茨城新聞社