財務省が2025年大阪・関西万博を記念して発行する1万円金貨と千円銀貨の図柄パネル＝9月20日、東京・霞が関の財務省【時事通信社】

◆あと100回発行可能？ 　財務省が保有する金塊や延べ棒などの金地金は19年度末に129．49トンに積み上がった。一方、記念金貨の発行は減少傾向で、18～20年に発行された東京五輪記念貨幣で使われた金は1．91トンにとどまった。財務省は、会計検査院から「材料として使う見込みがない金を保有しているのは不適切」との指摘を受け、21年3月に80．76トンを外国為替資金特別会計に売却。国の財務書類では、22年度末時点の保有量は48トンとなっている。 　今回の1万円金貨は単体売りと万博記念シリーズのセット売りを合わせて3万1000枚を予定する。22年度末以降の金貨で使われた金を差し引いても、今回の金貨と同規格で同枚数の発行はあと100回程度できる計算だ。財務省は21年の金売却時に「必要量を随時見直し、使用する見込みがないと判断する場合は売り払いを検討するなど活用を図る」と説明している。 ◆求む！未来のコレクター 　販売業者などでつくる日本貨幣商協同組合の専務理事で、千葉市内に店を構える林和実さんは記念貨幣の魅力を「歴史的行事を知ることができる点だ」と指摘する。値の張る記念貨幣の収集者は40代以上が多いが、数百円で買える古銭を集める小中学生も近年増えてきたという。ネット動画などを見て知識も豊富で、「10人に1人でもコレクターになってくれればうれしい」と語る。 　林さんによると、8000万枚発行された64年の東京五輪記念の100円銀貨は一般的な100円玉と同じように流通。普通の100円玉に交じっていたと売りに来る人がおり、「気軽に使えるものも出てくれば」とも願う。 　等価交換できる五百円や百円貨幣の発行は現在でもある。直近では18～20年に東京五輪・パラリンピックの機運醸成のため、五百円貨幣2種類、百円貨幣20種類が順次登場。計8696万枚が金融機関の窓口で交換可能となった。 　今回の万博記念シリーズでも25年4月ごろ、五百円貨幣が登場する。21年11月に刷新された新500円玉と同様に2色構造の素材を使用した。表には公式キャラクターの「ミャクミャク」が描かれ、裏には金貨や銀貨と同じロゴマークがある。全国の銀行や信用金庫で220万8000枚が交換できる見通しだ。これを機会に手に取ってみてはいかがだろうか。