印刷が上下逆?? ストーリーは720通り?? 2021年に出版された小説『N』がSNSで紹介され爆売れ 道尾秀介が前代未聞の仕掛け小説を書いた理由とは[文芸書ベストセラー]
4月2日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『風の中に立て -伊集院静のことば- 大人の流儀名言集』が獲得した。 第2位は『spring』。第3位は『魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 番外編』となった。 【実際の投稿を見る】「道尾秀介が『一冊の本』の概念を変える」 けんごさんがInstagramで『N』を紹介した投稿を見る 4位以下で注目は8位にランクインした『N』。道尾秀介さんが2021年10月に発表した作品。全六章で構成される物語だが、読者はどの章から読んでもよく、読者の選択により720通りの物語が展開する。単行本では一章ごとに上下反転されて印刷されており、章ごとの物理的なつながりも断ち切られている。その造本の特異さも含め、前代未聞の試みにチャレンジした一冊だ。今年1月に小説紹介クリエイターのけんごさんが同書を紹介した動画がTikTokやYouTubeで話題となり、大きく売上を伸ばしている。 道尾さんは刊行記念のインタビューで、脱出ゲームなどの自らが参加するエンターテイメントが好きだと告白しながら、小説でも能動的に楽しむ「体験」ができるのではないかと考え、《読者が次はこれを読みたいという作品を能動的に選んで、ページをめくって読んでもらおうと思いました。どの章をラストシーンにするかも読者が決める。そうすることで、読者に自分だけの物語を体験してもらいたかったんです。》と語っている。タイトルとなった「N」の意味については、《自然数のN。Nの数だけ人生があるという意味を込めたいなと。》と明かしている。道尾さんは2023年11月に作中の二次元コードを読み込むことで音声が再生される仕掛けを導入した体験型ミステリ小説『きこえる』(講談社)も上梓している。
1位『風の中に立て -伊集院静のことば- 大人の流儀名言集』伊集院静[著](講談社) 2023年11月24日、作家の伊集院静さんが永眠されました。交友関係は文壇や芸能界、スポーツ界と幅広く、多くの人に愛されました。数々の名小説を残した作家でありながら、作詞家としても活躍、『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』の名曲を手掛けました。酒とギャンブルを愛し、ゴルフの腕前も一流。銀座通いも有名で、女性にも男性にもモテました。そんな伊集院さんは生前、エッセイの中でたくさんの言葉を残しています。「酒の良し悪しは、呑み手の心情にある」「人生というものは総じて割に合わないものだ」「理屈は、やることをやった後での無駄口の類いのものだ」「さよならも力を与えてくれる」ーー。本書では伊集院さんが、生と死、冠婚葬祭での作法、大人の遊び方・働き方について語った言葉の数々を収録しました。その言葉にはユーモアがありながら、その裏側には人間を見つめる深い眼差しがあります。伊集院さんの言葉が、生活のさまざまな局面で、きっと人生の支えとなるはずです。(講談社ウェブサイトより)