トランプ当選で2024年五輪と2026年W杯招致は米国が不利になる?!
米大統領選は共和党候補のドナルド・トランプ氏が、民主党のヒラリー・クリントンを接戦の末に破った。 政治家として経験のないトランプ氏。外交手腕は未知数で、選挙運動中には違法に滞在する移民排除や差別的な発言を繰り返してもきた。 トランプ大統領の誕生はスポーツ界にどのような影響を与えるのか。イギルスのBBCの電子版が、さっそく検証記事を発表した。 BBCの記事は、冒頭で、「トランプ氏の政策は不確かなところが大きく、これらが米国や世界に与える影響も分からないところがある」としている。 しかし、トランプ氏が大統領になることで、米国が立候補していた2024年のオリンピック・パラリンピックの誘致、2026年のFIFAワールドカップ、アメリカンフットボール、野球、バスケットボールの世界への「拡張戦略に影響があるだろう」と伝えている。2024年のオリンピック、パラリンピックの招致にロサンゼルスと、パリが立候補しているが、「トランプ大統領により、ロサンゼルスは不利になり、パリが有利になるかもしれない」という見通しを明らかにした。 ロサンゼルス市長は、大統領戦ではクリントン氏を支持していた。記事によると、同市長は、今年8月には「IOCがトランプ氏が大統領になることに懸念を示したこと」を明かしていたという。 トーマス・バッハIOC会長が開催地についての懸念として「上層部から人々へ向けて利己的であることが主張されているところ」と、話した部分を引用し、この部分が、「トランプ氏が訴えたイスラム教徒の米国入国禁止や不法滞在移民の規制策を指しているのではないか」と伝えた。 また2度目の開催に立候補している2026年FIFAワールドカップ招致への影響についても触れている。2026年のFIFAワールドカップでは、出場国をこの大会から48カ国に拡大するという構想がある。現在、開催地に立候補しているのは、米国、カナダ、メキシコの3カ国だが、記事によると、FIFA側は、この3カ国を組み合わせて、共同開催にする可能性も排除していないという。2002年の日韓ワールドカップ以来となる共催プランだ。 だが、トランプ氏は、これまでの選挙戦で、メキシコとの国境に壁を建設する計画などを主張してきた。トランプ大統領の誕生によって、「メキシコとの関係が悪化すれば、米国とメキシコとの共同開催を想像することは難しいのではないか」と、BBCは指摘している。 今週には、FIFAワールドカップ北中米・カリブ海予選の米国代表対メキシコ代表戦が行われる。BBCの記事は、この試合が、今後の方向性を占うテストになるだろうと付け加えている。 また、トランプ大統領の誕生によって、米プロスポーツの国際市場拡大戦略にも影響を及ぼす可能性があると指摘した。NFL,NBA,MLBとも米国外で試合を開催し、市場拡大戦略を図っている。しかし、トランプ氏は、外国製品に対する関税の引き上げを提案しており、これによって諸外国との関係が悪化した場合、試合開催を受けいれてくれる関係を諸外国と維持できるかという懸念があるとしている。 さらに記事では、「米国のスポーツ界は、世界の経済事情の変化から受ける影響を考慮しなければいけなくなるかもしれない」と予想している。