パッティングの名手が明かした 優勝前日の松山英樹との会話
「フェデックスセントジュード選手権」で通算10勝目を飾った松山英樹は、アジア勢初の年間王者の可能性をふくらませてプレーオフシリーズ第2戦に入った。PGAツアーのオリジナルコラムでは今回、Chuah Choo Chiang氏がメンフィスでの試合期間中に、松山がパットの名手と会話したシーンを紹介し、プレーオフの残り2戦について言及した。 【画像】松山英樹の米ツアー10勝目に貢献 スコッティキャメロン「クラフツマン」 ◇ ◇ ◇
PGAツアー8勝のブラッド・ファクソンはパッティングの達人として知られている。多くの選手のコーチ役も務めている彼は、2024年のフェデックスカップでゴルフの歴史を塗り替えるかもしれない松山英樹についてのエピソードを明かした。 プレーオフシリーズ初戦「フェデックスセントジュード選手権」でテレビ解説を務めていたファクソンは、首位を走っていたTPCサウスウィンドで練習中の松山に声をかけた。自身もスコッティキャメロン・マニアであるファクソンは、松山が同大会で初めて使った同ブランドのパターについて話したかったのである。 ラジオで明かしたところによると、「彼は(3日目を終えて)5打差のリードをつけていた。パッティングの統計でトップに立っていたから、信じられなかったよ。見たことがないパターを使っていたから、『見せてくれないか』と言ったんだ」という。
「ヘッドカバーから取り出して見せてくれたよ。そうしたらヒデキは『パッティングのレッスンを受けさせてください』と英語で話したんだ!私は『ヒデキ、きみはいま5打差をつけたリーダーだ。今週はパッティングのスタッツで1位だ。それなのに、レッスンをしてほしいって?』と笑って返したよ。すると、冗談だと思っていたら、(松山の通訳である)ボブ・ターナーがやって来て、『彼は真剣だよ。彼は自分のパッティングの良いところを知りたいんだ』って」 松山のショットの正確性の素晴らしさはもはや言うまでもない。今季のストローク・ゲインド・ティ・トゥ・グリーンは3位にランクイン。一方で、先週メンフィスで優勝する前のストローク・ゲインド・パッティングは133位に低迷していた。過去5シーズンのスタッツは119位、114位、175位、170位、97位…。誰もが「パッティングがもっと良ければ」と夢想してきた。しかし、彼の新しいパターはTPCメンフィスで大活躍。キャリアで2番目となる1試合で計453フィートのパットを決めた。 年間王者に3度輝いたロリー・マキロイ(北アイルランド)も師事する名手ファクソンは、松山の突然のリクエストに戸惑ったという。「どう言ったらいいか分からなくて。私が彼のストロークで好きなところは、パターが決して静止しないところだ。地面の上で弾んで、ヘッドがまるで緊張して震えているようだが、その“落ち着きのなさ”が好きなんだ。ただ、(優勝争いをしている)彼を混乱させるような、技術的なことは今、絶対に言うべきではないと思った。私は彼に『セットアップがスクエアなところが好きだ』と伝えたよ」 松山は昨季、ヘッドの上に置いたコインを落とさないように打つ練習でファンや解説者たちの視線を集めた。クラブテストのために練習日はいつもキャディバッグには20本以上のクラブを詰め込むこともよく知られている。