26歳で月給18万円…。ブラック企業から「中学教員」に転職したら生活はよくなりますか?
教員免許を持っている方であれば、教員への転職は一つの選択肢となります。しかし、教員は給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)により、残業代が支払われません。また、残業や休日出勤が多く、心身ともに消耗しやすい点は知っておきましょう。教員への転職を目指す場合は、メリットとデメリットを知ることが大切です。
私立・公立の教員の平均給料とは
26歳のAさんは月給18万円で働いており、「薄給だから転職したい」と考えています。教員免許を保有していることから、教員への転職を検討しているとのことです。 総務省の「学校教員統計調査」によると、小学校から高等学校の給料月額は下記のとおりです。 ●国立小学校:33万1500円 ●公立小学校:32万2300円 ●私立小学校:35万6200円 ●国立中学校:34万600円 ●公立中学校:33万2000円 ●私立中学校:38万400円 ●国立高等学校:34万6800円 ●公立高等学校:35万3200円 ●私立高等学校:36万6100円 Aさんの月給と比較すると、教員の給料月額は高いことが分かります。毎年4ヶ月分の賞与が支給されるとして、上記の給料月額に16を乗じると、教員の平均年収は「520万~600万円程度」となります。 国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者5270万人の平均年収は443万円でした。統計上からは、民間企業に勤務している人よりも、教員のほうが稼げる職業といえそうです。
民間企業の平均給料や労働環境も比較しよう
年収だけ見ると、民間企業よりも教員のほうが恵まれています。しかし、教員は「ブラック」といわれることがあるように、労働環境についての情報を得ることも欠かせません。 公立教員を例にすると、働くデメリットとして以下が挙げられます。 ●残業代・休日出勤代が出ない ●部活動の顧問に駆り出されて休日が少ない ●夏休みや冬休みも出勤して授業計画を作成する必要がある ●保護者からのクレーム対応で消耗する ●いじめや不登校の問題への対応が求められる 文部科学省の「教員勤務実態調査」によると、月の残業時間が50時間を超えている小・中学校の教員は全体の60%にも上ります。いくら残業しても残業代は支給されず、休日出勤に対する手当も支給されない点は、教員のデメリットといえるでしょう。 残業代の代わりに「教職調整額」が支給されますが、金額は給料月額の4%に過ぎません。つまり、「時給換算すると民間企業のほうが高い」というケースがあり得るのです。 ほかにも、保護者からのクレーム対応や、いじめ・不登校などの問題への対応で消耗してしまう教員も少なくありません。メンタルヘルスの不調で休職・退職を迫られる教員もいることから、心身ともにハードである点は覚悟しておくべきでしょう。 もちろん、教員の仕事には子どもの成長に立ち会えるというやりがいもあります。単に収入の数字だけにとらわれるのではなく、リアルな労働環境や仕事への適性を通じて、自分に向いているかどうかを確認しましょう。