今年もイケるか交換か? 数年経ったスタッドレスは「減り」に「ヒビ」に「溝の形」と色んなところをチェックして判断すべし!!
なるべく負荷をかけない走り方が重要
「で、実際のところスタッドレスタイヤはいつまで使えるの?」っていう話ですが、ゴムの性能だけでいうと、多くは3年から4年くらいはもつように作られています。ただ、野ざらしで屋外に保管していると、半年で数年分劣化してしまうこともあります。 3つ目は、ひとつめ、ふたつ目ともかかわってくるのですが、タイヤの損耗です。要は、摩耗するにしても平らに減るのではなく、タイヤのショルダー部が摩耗してしまったり、ブロックのヘリが丸く摩耗してしまったり、あるいはサイプ(極細溝)が開いてしまったりといった傷み方です。スタッドレスタイヤのゴムは寒冷時に柔軟性を保つために柔らかなゴムが使われています。その柔軟性が氷雪路で路面を捉える働きをしてくれるわけです。スタッドレスタイヤをドライ路面でサマータイヤと同じように扱うと、当たり前のことですがタイヤの傷みは激しくなります。 急加速や急減速……といってもタイヤが鳴き出すような激しいものというわけではなく、強めの加速でも十分タイヤのブロックに負担がかかります。同様にカーブでもぐっと横Gがかかる程度の旋回、あるいは交差点でアクセルを踏んで加速しながら旋回するといった使い方でもトレッドブロックのエッジや角、ショルダーブロックは摩耗してしまいます。 なので、サイプが開いてギザギザになってしまったっり、ショルダーブロックの角が削れて丸くなってしまったり、ブロック全体のエッジが削れ丸みを帯びてしまうと、氷雪性能はガクッと悪くなります。 一般道の交通状況で絶対にそうした運転をしないで、静かに丁寧に走るなんてことは現実的に無理ですが、そうした運転が許される状況のときだけでも、なるべくタイヤに負担をかけないように穏やかに加速したり、減速もたっぷり制動距離をとるようにする……コーナリングも惰性やパートスロットル(加速も減速もしないアクセルの踏み方)を行ってやると、断然タイヤの性能の下落を最小限にとどめることができます。 スタッドレスタイヤは、ゴムの性能はもちろん重要ですが、それだけでなくブロックのエッジや角、サイプの溝が氷雪路面での性能を作り出しています。この部分の摩耗を最小限にとどめるように走ってやると、4年後でも驚くほど氷雪性能を発揮してくれます。 また、摩耗と同時に気を付けなくてはならないのがゴムの劣化です。 タイヤは、風雨や窒素酸化物、オゾンなどで劣化が進みます。また、装着したまま走らずにガレージにクルマを停めておくだけでも劣化は進みます。 よくいわれることですが、タイヤはある程度走ってゴムを運動させてやったほうが劣化が少ないのだそうです。それが、タイヤが生モノといわれる所以だったりするわけです。 タイヤが経年変化で劣化するのは、前述のとおり、再架橋によってポリマー同士のつながりが密になって、柔軟性を失われるからだといわれています。同時にタイヤに練り込まれた劣化防止のためのオイルが蒸発してゴムがカサカサになってしまうこともよくあります。 こうなるとブロックの根もとやサイドウオールにひび割れが入ってくるので、それとわかります。 経験的にいうと、多少の浅いひび割れは2~3年たつと出てくることがありますが、柔軟性が保たれているようならまず問題ないと思います。ブロックの根もとや溝底、あるいはサイドウォール(タイヤ側面)に深い亀裂用に名ひびが入ると、これはもう使いものになりません。 保管の仕方や走らせ方でタイヤの使用限界は大きく変わってきます。ただ、ちょっと注意をして走らせてやるだけで、安全快適な冬道ドライブを長く楽しむことができます。 保管に関しては、密閉しないカバーをかけて。かつ雨風にさらされないように保管しておくだけでゴムは3~4年程度は性能を保ってくれます。このとき、空気圧を少し抜いてタイヤの緊張を取っておくとさらにいいでしょう。
斎藤 聡