暑さに強いコメ 各地で作付け増
猛暑が常態化している近年、暑さに強いコメづくりが進んでいる。 農林水産省によると、暑さに強いコメ「高温耐性品種」は、2023年に39府県で46品種が作付けされた。作付面積は18万2869ヘクタールと、10年前に比べて約2.8倍となり、主要食米に占める割合は14.7%で、いずれも過去最高を記録した。
イネは亜熱帯が原産だが、日本のコメ栽培の歴史は冷害と闘いで、寒さに強い品種の開発、育成が長年にわたって続けられてきた。日照不足で冷夏だった1993年は、東北、関東を中心に冷害が相次ぎ、タイや米国などからコメを緊急輸入するなど「平成の米騒動」と騒がれた。
一方、最近のコメ不足は、2023年の猛暑によってコメの品質が下がり、流通量が減ったことが原因だ。農水省の担当者は、「今後も地球温暖化に伴って高温傾向が続くと見込まれる。高温耐性品種の育成、作付けの拡大が必要だ」と話している。
近年は各産地が独自の品種を開発、ブランド米づくりに取り組んでいる。ただ、新しい品種の開発は長期間にわたるため、農水省の担当者は「すみやかに猛暑に対応するため、他産地のコメの作付けが増えるのではないか」とみている。