故・佐藤茂雄大商会頭の弔問相次ぐ 大阪経済界に悲しみ
故・佐藤茂雄大商会頭の弔問相次ぐ 大阪経済界に悲しみ THEPAGE大阪
肺炎のため20日死去した佐藤茂雄大阪商工会議所会頭を追悼する弔問記帳台が25日、大阪市中央区の同会議所4階に設けられ、あいにくの雨模様の中、多くの弔問客が訪れた。佐藤会頭は大阪経済を下支えする中小企業振興や、個人商店までもが潤う観光推進などに注力しただけに、大阪経済界に悲しみが広がっている。弔問記帳台の設置は来月1日まで。
大きなテーマを示唆した遺志を受け継ぐ
弔問記帳台には佐藤会頭の遺影とともに、故人が記した色紙や海外要人から贈られた記念品などが飾られた。25日午前から商議所関係者や経済人らが弔問に訪れ、「佐藤さんから勇気と希望をもらっていたのに残念」などと、語り合いながら遺徳を偲んだ。 大商西支部の西川典男支部長は「佐藤会頭の企業訪問によく同行した。中小企業の現場をこよなく愛する会頭だった」と話す。「明るい性格で経営者の話をよく聞きながら、自身の素晴らしいアイデアも提案。優良企業や新事業の掘り起しを含め、とても有意義な企業訪問になった」と懐かしむ。 佐藤会頭と親交が深かった佐伯保信大起水産会長は「水産業界は佐藤会頭から食の大阪を世界に発信せよという大きなテーマをいただいていた。これからも遺志を受け継いで、大阪の食文化の発展に努めていきたい」と、悲しみに耐え決意を新たにしていた。
ボート部・琵琶湖・焼き肉と豪快明朗
地元大阪の弔問者だけではない。村田省三大津商工会議所専務理事は「佐藤会頭は琵琶湖で練習する京大ボート部出身。会頭に就任されてからも琵琶湖に通い、著名な焼肉屋で焼き肉を召し上がっていたようです」と話す。ボート部、琵琶湖、焼き肉。佐藤会頭の年齢を越えて豪快明朗な一面がうかがえる。 関西は琵琶湖と淀川水系でつながっている。村田さんは「琵琶湖に関連して、佐藤会頭から『おもしろいアイデアがある。かたちがみえてきたら教えるから、少し時間がほしい』といわれた。どんな事業なのか楽しみにしていたが、聞けなくなり残念でならない」と話した。 先の大阪府知事選、市長選に立候補して敗れた自民の栗原貴子前府議、柳本顕前市議がそろって弔問に訪れた。柳本前市議は「佐藤会頭は京大の大先輩でもあり、何かと助言をいただいた。市長選立候補に際し、『関市政、平松市政を継承したい』と申し上げると、『継承に留まってはいけない。あなたの仕事は大阪を大きく作り変えることだ』と激励されたことが忘れられない」と、振り返った。
新年互礼会で「元気だ」のガッツポーズ
佐藤会頭は水都大阪再生にも尽力。今年5月、東横堀川の本町橋船着場開設の式典では、佐藤会頭自ら赤いハッピを着込んで、PRに一役買っていた。 同1月の大阪新年互礼会。佐藤会頭は体調を壊し声が出にくかったが、広い会場を回りながら来場者と歓談。「ザ・ページ」記者がカメラを向けると、声を出せない分、笑顔でガッツポーズを決めてくれた。 サービス精神が旺盛だった。あのガッツポーズには「私は元気だ。大阪も元気になろう」というメッセージがこもっていたような気がする。弔問記帳台の設置は来月1日まで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)