「万燈会の里」灯り再び 輪島・金蔵、15日
8年前まで旧盆に約3万本のろうそくの明かりで彩られていた輪島市町野町金蔵で15日、住民が万燈のイベントを「復活」させる。能登半島地震からの復興を願い、金蔵で支援活動を行うボランティアと住民が約2200本の明かりを旧盆の夕方にともし、帰省や墓参で金蔵を訪れる人々を温かく迎える。 万燈イベントは「祖霊のともしび 復興の願い」と銘打って実施する。真宗大谷派正願寺の境内に、カップに入ったろうそくを並べる。市東部の中山間地にある金蔵ではかつて旧盆に、集落全体で明かりをともす「金蔵万燈会」が開催され、多くの観光客を魅了していた。しかし、過疎化とボランティアの不足が重なり2016年で幕を閉じた。 能登半島地震では集落全体が一時孤立し、家屋の破損が相次いだため、住民は長期間の避難生活を送った。現在は市内外への住民の避難や仮設住宅への転居が進み、人口は地震前の3割の30人に減った。一方、災害ボランティアが金蔵の支援を続けており、協力を得て万燈イベントを再び実施できる見通しが立った。 今回は住民でつくる正願寺門徒ともしび同好会が主催する。ろうそくを入れるカップは埼玉県のボランティア団体の10人と、金蔵万燈会にも関わってきた世話人の石崎英純さん(74)らが準備した。当日の点火は、石崎さんら同好会や東京、埼玉のボランティア約40人で行う。 金蔵で倒れた墓石の修繕にも汗を流した石崎さんは「ろうそくの彩りで金蔵を再び明るくしたい」と話した。15日は午後5時から10時まで点灯する。