【解説】“裏金”根絶できるか…「政治資金規正法」自民党の改正案 焦点の「連座制」導入は?
■自民党案「3つのポイント」
鈴江奈々キャスター 「では、自民党案について、3つのポイントに絞って政治部の平本官邸キャップと伝えていきます」 「まず1つ目、『“連座制”導入は見送り?』、2つ目『“裏金” 「今後」は国庫返納へ』、3つ目『なぜ? 政策活動費“今後の検討”』。まず1つ目です。まずは平本さん、いわゆる連座制に踏み込むかどうかというのが焦点でしたよね?」 平本典昭 政治部官邸キャップ 「政治資金規正法の改正の最大の焦点はここでした。というのもこの問題、有権者の最も大きな怒りというのは、政治家が秘書のせいにして責任を逃れるケースがこれまで多かったからです。『知りませんでした』という政治家の言い訳、もう聞きたくないという思いがみなさんあります。そこで、議員の責任を厳しく問うというのが、いわゆる連座制の導入でした」 「これおさらいをしますと、例えば収支報告書へのウソの記載があり、会計責任者、秘書などに一定以上の刑事罰が確定した場合、自動的に議員本人も失職する、公民権が奪われるというもの。つまり、『秘書のせい』というものは、イコール『議員のせい』になる制度で、立憲民主党など野党の多くが導入を求めています」 鈴江キャスター 「一方でその“連座制”、自民党案では見送りとなったものの、自民党の案がありますが、連座制との違いというのはどこにあるんでしょうか?」 平本キャップ 「自民党案というのは、連座制を一部取り入れた形といえます。とりまとめ役の自民党の鈴木議員は、『厳密な連座制ではないが近い形』と言っています。一方、完全な連座制を主張している野党側からみれば、『連座制もどき』であるとか、『逃げ道だらけの制度』などの批判があがっています。自民党案はつまり、ゼロ回答ではないけれども、野党案ほど厳しくないというもので、『実効性』を確保していくためにどう運用していくのか、今後の自民党の説明が注目ポイントになります」 鈴江キャスター 「平本さんの今の説明の中にあった、野党がしてきする『逃げ道』というのは、実際に考えられるケースというのはあるのでしょうか?」 平本キャップ 「『逃げ道』のポイントとなるのは確認書です。自民党の案をみると、確認書をめぐっては、罪に問われるのは、議員が確認をしないで確認書を作ったときのみというふうにしています。野党側からは早くも、例えば確認はどうするのか、具体的な確認の方法がわからないとか、確認はしたけど不正はした認識がなかったといった場合はどうなのかといった声も出ています」 「蓮舫議員も24日の国会で『なんちゃって連座制だ』と。野党は収支報告書のミスがあれば会計責任者も議員も共同責任になる案を出しています。こうでないと抜け道がなくならないという主張をしています」 鈴江キャスター 「そういった追及がある中で、なぜ自民党は完全な連座制の導入に慎重なのでしょうか?」 平本キャップ 「取材していて大きく聞く声は、『秘書がわざと議員をおとしいれる可能性は否定できない』とか、『秘書が選挙違反をして議員が失職するというのはわかるけど、収支報告書の記載ミスで失職するのはやり過ぎ』といった声が根強くあります。共通するのは、『政治活動が制限される』というものですけれども、国会議員がどこまで自らに厳しい制度にできるか、本気度が問われていると思います」