加藤清史郎「驚きとプレッシャーです (苦笑)」 宮崎駿初監督作『未来少年コナン』が舞台化
最終戦争後の荒廃した地球。正義感あふれる野生児・コナンが、世界征服を目論む組織に狙われる少女・ラナを助け冒険の旅に出る。宮崎駿さんが初監督を務めたことで知られるアニメ『未来少年コナン』。46年前に放送された名作を、世界的に活躍する演出家インバル・ピントがダビッド・マンブッフと共に舞台化を手がける。インバルというと、日本ではこれまでにミュージカル『100万回生きたねこ』や『ねじまき鳥クロニクル』などを、美しくファンタジックな舞台美術に、コンテンポラリーダンスの表現を取り入れた創造性の高い演出で、観客を釘付けにしてきた人。 宮崎駿さんの46年前の初監督作。「想像の上のものが見られるはずです」 「初めてインバルさんの舞台を観たとき、ひと言目が『なんだこれ、すっげぇ』でした。いろんな技術が出てきている今の時代に、新しい技術を取り入れながらも、舞台機構や装置、小道具、そして何より人の体というオーソドックスな手法を使って、こんなこともできるんだっていう想像外のものを目の前で見せてくれる。なるほどこれが鬼才と言われる理由かって思いました」 と話すのは、本作でコナンを演じる加藤清史郎さん。インバル作品というと、フィジカルと舞台美術や照明などでシーンを舞台上に描き出し、それをつなぎ合わせることで物語を紡いでゆき、セリフもあくまでその要素のひとつという印象。これまでとはまるで違う表現を求められる現場にまだ戸惑っている様子。 「作品自体は絶対に面白くなるんですが、そこに自分の名前が並んでいるのが、驚きとプレッシャーです (苦笑) 。これまでも動く役はいろいろ演じてきましたが、俊敏さの種類が違って、しなやかさや伸びやかさが求められるというか…。事前にワークショップもあったんですが、何かの技を習得するというより、ひたすら自分の体を知って、その感覚を研ぎ澄ましていくことを求めていた感じです。すごいのは、同じ動きであっても質感を変えるだけで見え方が全然違うということ。例えば、バク転の動きをするとして、僕がやるとただのバク転になってしまうけれど、やる人がやれば、前から何かが来るのを避けてのけぞって後ろに下がるという動きに見えてくる。ただ自分ができてないので、しょげたりしょげかけたりしています」 原作アニメは、SF冒険譚でありながら戦争の虚しさや人間の本質、人間愛なども描かれている。 「一見ポップに見えるけれど、描いているものはすごく深くて重みがあります。’70年代に作られた作品だけれど、今を生きる僕たちが観てもしっかり届く。伝えたいメッセージを強い言葉で主張するんじゃなく、自然な形で人の心に訴えかけるのがすごいですよね。刺さるというより、染み込んでいくような…。この間、カンパニー全員で共有する時間があったんですが、インバルが、今の時代にこの作品をやることにものすごく意味があるし、僕らはそれを届けないといけないんだと話していて、本当にそうだなと思いました。今回の舞台も、アニメと同じように世界が壊れていくプロローグから始まります。そこをいろんな手法を使って見せていくんですが、最初は人の体だったものが徐々に別のものに見えてきたり、急に人じゃないものになったり。舞台なのにスクリーンを見ているような瞬間もあるし、縦だった世界が横になったり重力を感じさせない場面もあったり。想像を超えた世界が広がっているので、あらゆる世代の方に観てほしいですね」 舞台『未来少年コナン』 宮崎駿監督作、不朽の名作冒険アニメーション『未来少年コナン』 (1978年) を舞台化。朽ち果てた地球の片隅、孤島「のこされ島」で野生児のように生きる主人公の少年・コナン (加藤清史郎) 。ある日、謎めいた少女・ラナ (影山優佳) と出会うことで、島しか知らなかったコナンの世界は開き、予想もしない大冒険が始まる――。5月28日 (火) ~6月16日 (日) 東京芸術劇場プレイハウス 原作/宮崎駿監督アニメ『未来少年コナン』 演出・振付・美術/インバル・ピント 演出/ダビッド・マンブッフ 出演/加藤清史郎、影山優佳、成河、門脇麦、宮尾俊太郎、今井朋彦、椎名桔平ほか S席平日¥11,000、土・日曜¥11,800 サイドシート平日・土・日曜ともに¥9,000 ホリプロチケットセンター TEL:03-3490-4949 大阪公演あり。 かとう・せいしろう 2001年8月4日生まれ、神奈川県出身。子役を経て、ドラマや舞台で活躍。近作に、ドラマ『最高の教師』、ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』などがある。 シャツ¥4,950 パンツ¥6,930 (共にCASPER JOHN) 中に着たメッシュプルオーバー¥4,950 (AIVER) 以上シアン PR TEL:03-6662-5525 ※『anan』2024年5月29日号より。写真・森川英里 スタイリスト・金 順華 (sable et plage) ヘア&メイク・入江美雪希 インタビュー、文・望月リサ (by anan編集部) あわせて読みたいanannewsEntame デビューは1歳! 21歳になった加藤清史郎「楽しいからやっているっていう…2023.7.21anannewsEntame 加藤清史郎「るろ剣ファンとしても、ミュージカルファンとしても楽しみ」2022.5.15anannewsEntame 松岡広大「ダンスが言語に代わる、人と繋がるツールみたいな感覚だった」2023.8.1anannewsEntame 門脇麦「日本語を介さない創作現場では本質だけが残る」 舞台『ねじまき鳥ク…2023.11.5anannewsEntame 村上春樹の名作が舞台に! 渡辺大知に“ダンス×演劇…”の魅力を聞いた2020.1.25