岩田寛が国内メジャー初V「恨みっこなしで」PO前切り出す「遼勝ってゴメン言われても腹立つ」
<男子ゴルフ:BMWツアー選手権森ビル杯>◇最終日◇9日◇茨城県宍戸ヒルズCC(7430ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円) 【写真】プレーオフを制し、ギャラリーの声援に応える岩田、石川遼は残念な表情 首位から出た43歳の岩田寛(フリー)が5バーディー、2ボギーの68にまとめ、通算13アンダーの271で並んだ石川遼(32=CASIO)をプレーオフ(PO)で下し、国内メジャー大会初制覇を果たした。日本人では最年長の初日本3大大会タイトル。昨年4月以来のツアー通算6勝目となった。石川は5打差16位から63で猛追。2年ぶりのツアー通算19勝目こそ逃したが、苦手コースを攻略して次戦の全米オープン(13日開幕、米ノースカロライナ州)へ弾みをつけた。 ◇ ◇ ◇ 岩田は悩んだ末に、PO開始前に、切り出した。「恨みっこなしで」。今週は石川と組む佐藤キャディーとは、次週タッグを組む。突入が濃厚になると「気まずい。遼が勝って『ゴメンね』と言われても余計に腹が立つ」と思案。過去2戦2敗のPOを前に、先読みしていた。第2打でグリーン奥に外しても、淡々とピンに寄せた。1メートルのウイニングパットを沈めても、大きく表情は崩れなかった。 最年長Vの直後こそ「ほとんどが遼の応援と思ったら“岩田頑張れ”の声が聞こえて、泣きそうになった」と感情を出したが、プレー中に続けたのは、理想のショットを探求する自問だった。「1番のティーショットが1番いい球で」。以降は、その感覚を追い求めた。年齢を重ねてスイングの細かな動きに意識を向け、悩みも増した。「やればやるほど、理想から遠ざかる」。この日はフェアウエーを外したのは1度だけだったが「言われて、気づきました」と没頭していた。 「変わってますよね、めちゃくちゃ気持ち悪い」。それが性格の自己分析。確かにこの日のショットと異なり、捉えどころがない。そんな自分に目をかけてくれる先輩が谷口徹。20代の頃に「ご飯行こう」の誘いに2人で外食。「人見知りマックスで、ひと言もしゃべんないで、谷口さんがずっと」と懐かしむが、関係は続く。「メジャーに勝て」と諭されたのは正月。これまで特別視してこなかったが、そんな言葉も思い出しながらの4日間だった。 どう報告するか聞かれると「谷口さん、松ぼっくりを拾ったと思ったら、自分のボールだったらしい、試合中に。何でだろう」と、その答えも何とも捉えどころがなかった。「優勝はしましたけど(ショットの感覚が)合ってるかどうか分かんないです」という悩みとともに、まだまだ自問は続きそうだ。【阿部健吾】