校正者は役目を終えたのか(1)右肩下がりの出版市場
校正需要は高まっているのか?
国内における紙の出版市場は、右肩下がりだ。全国出版協会によると、2017年の紙の書籍・雑誌の推定販売額は、前年比6.9%減の1兆3701億円と13年連続で減少した。新聞市場も衰退の一途をたどっている。日本新聞協会のまとめでは、2017年の新聞(一般紙・スポーツ紙)の発行部数は4212万8189部となり、2007年の5202万8671部から約1000万部減った。 新聞・出版市場は衰退の一途だが、校正・校閲の仕事量も減少しているわけではなさそうだ。日本エディタースクール(東京都千代田区)の稲庭恒夫社長(66)によると、同校修了生に対する過去7年間(2011~2017年度)の校正職の求人数は、2016年度の119件を除いて130~160件台で推移。 年ごとの増減はあるが大きな変動はないという。「求人数の推移を見ると、校正の仕事は減っていないという印象だ。商業印刷物などを扱っている校正プロダクションからは、かなり仕事が増えてきているという話も聞いている」と話す。 校正・編集プロダクションのぷれす(東京都新宿区)の奥村侑生市(ゆういち)社長も「ウェブも含めて、校正需要自体は高まっているのではないか」と話す。3、4年前から企業のネットコンテンツ制作を担う広告代理店からの依頼も増えているという。 校正者の未来は明るいのか? 「少なくとも私の周りで、仕事が増えたという話は聞いたことがない」「専門性が求められる仕事の割にはギャラが少ない」「出版社にとって校正は費用なんですよ」。現場からはこんな声が聞こえてくるのも事実だ。 この連載では、出版社や新聞社、ネットメディア、校正プロダクション、校正・校閲者などの関係者を取材した。校正・校閲の「今」を探る。 (取材・文:具志堅浩二)