滝沢秀明“エイジ”の出生の秘密に何が コミカルとミステリー要素のバランスが絶妙<アンティーク~西洋骨董洋菓子店~>
連続ドラマを見続けていて、物語が終盤になると、その作品がなぜ自分を魅了するのか理由が見えてくることがある。現在FOD・TVerでは「#ドラ活 浸れ、超自分的ドラマ生活。」と題して、懐かしいドラマの数々が視聴できる。今月の配信作品のひとつ「アンティーク~西洋骨董洋菓子店~」(2001年、フジテレビ系)は、2025年1月8日(水)まで第1話が無料公開されており、順次、全話を無料配信中だ。洋菓子店オーナー・橘(椎名桔平)がある記憶を呼び覚まし、物語がクライマックスに向かっていく第9・10話を紹介する。(以下、ネタバレが含まれます) 【写真】「スカイキャッスル」で共演した小雪と松下奈緒の笑顔ショット ■小野が過去の失恋の傷を明かす 「アンティーク―」は、よしながふみ原作の実写化で、ケーキにまったく興味の無い超辛党のオーナー・橘(椎名桔平)と、不思議な雰囲気を持つなぞの天才パティシエ・小野(藤木直人)、そして元ボクサーで大のケーキ好きの店員・エイジ(滝沢秀明)の3人が営業する小さな洋菓子店「アンティーク」が舞台。彼ら3人(とお客たち)のハートフルコメディで、おいしそうなケーキと共に、毎回巻き起こるおかしなトラブルや心温まるストーリーを楽しむ作品である。 第9話「禁じられた歓び」は、女性嫌いなパティシエ・小野の過去が描かれる。たびたび「アンティーク」を訪れる新聞記者・桃子(小雪)は、エイジ(滝沢秀明)の取材を兼ねて来店していたという事実を隠していたが、正直に打ち明けた。エイジも橘も小野も桃子を許し、一緒に飲み会に出かけるほどの仲に。桃子の恋心を知る者たちはサッとその場を去り、小野と桃子が2人きりで残された。桃子は、勇気を出して小野に女嫌いの理由を尋ねる。すると小野は、以前辛い失恋をして以来、自分に好意を持ってくれる女性が苦手になったと告白。さらに自分に兄がいて、その失恋した女性と深い関係にあったことを語り出す。 ■橘はケーキの味から誘拐当時の記憶を呼び覚ます 続く第10話は「破滅への遺伝子」。クリスマス間近の「アンティーク」で、橘の留守中にやってきた桃子は、エイジと初めて会った時のことを小野に取材する。エイジにはケーキ作りの才能があると話す小野に、エイジは大感激する。 橘が店に戻ってくると、宗像(辻萬長)が来た。2人にとって、12月と言うのは特別な意味のある月。なぜなら幼い橘が誘拐されたのが、この月だったからだ。あるとき、橘はエイジが作ったケーキを一口食べ、誘拐されていたときに毎日食べていたケーキと同じ味がすることに気付く。「親の顔は知らないんだ」とあっけらかんと語るエイジと、橘の幼少期に何らかの関係があるのか、話の展開は最終話の第11話へと続く形で描かれている。 今作は、ケーキ店を舞台にさまざまな人間模様を毎回オムニバスで描くショートストーリー部分と、エイジ、橘、小野の人生にまつわる秘密が徐々に明かされていく大筋部分、そして毎回出てくる美味しそうで美しいケーキという三本柱がバランスよく立っているドラマである。普段、軽口ばかり言って飄々としているエイジの過去に何があったのかはまだ明かされていない。橘を古くから知る千影(阿部寛)との仲良しトークや、常連客の珠美(眞鍋かおり)と正太(えなりかずき)のゆっくり進む恋模様など、コミカルな要素もたくさん散りばめられているが、最後までエイジが何者なのかが気になる。結局、最終話まで一気見して結末を見届けたくなるドラマである。